電匠NXコラム
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電気工事における設計図と施工図の違い

電気工事における設計図と施工図の違い

電気工事を施工する際に決して欠かせない、設計図と施工図ですが、それぞれの意義や用途については意外と混同されがちです。電気工事をよりスムーズに進めるためには、この両者の違いを明確にし、それぞれの特徴を理解しておく必要があります。

今回は、そんな電気工事における電気設計図と電気施工図の違いについて詳しく解説します。電気工事における図面作成の際の参考にしていただけましたら幸いです。

電気設備設計図とは

電気設備設計図は、スイッチやコンセントなどの電気部品と電気設備自体を繋ぐ配線を、回路記号で記した図面を指します。

電気設備設計図には配線だけでなく、電気設備を設置する建物の広さ、高さなども大まかに明記されています。この図面を読み解くには、あらかじめ電気部品の専用記号の意味を把握する必要があることも、電気工事が専門性の高い工事と言われている理由の一つです。

また、電気工事は定期的な施工が必要不可欠であるため、次の工事のためにも電気設備設計図を工事会社が一定期間保管しておくことが望ましいとされています。そのため、電気設備設計図は電気工事を進めるにあたって、まず必要とされる存在と言っても過言ではないといえるでしょう。

電気設備施工図とは

電気設備設計図には、回路記号を用いて電気配線の位置、設備、部品数、建物の情報などが細かく記されていますが、基本的には施工方法に関する記載項目がありません。そのため、現場で電気工事の段取りを確認するためには、電気設備施工図を併用することが推奨されています。

電気設備施工図は、電気工事作業員が作業を行うための施工方法・工程が図面化されたものであり、現場作業において欠かせません。電気工事の計画や内容把握には電気設備設計図が必須ですが、実際の施工においては、電気設備施工図を確認しながら進めることとなります。設計図と施工図を上手に併用することで、より円滑に電気工事を進めていきましょう。

電気設備施工図の種類

電気工事において用いられる電気設備施工図は、主に4種類に分類することができます。ここからは、単線接続図・複線接続図・内部接続図・屋内配線図という4つの電気設備施工図について、具体的な特徴をご紹介いたします。今後、電気工事業界で活躍したい方はもちろん、既にご活躍されている方も知識の再確認としてぜひ参考にしてください。

単線接続図

単線接続図は現場となる建物の外部から電気を引き込み、どのようなルートで建物内を伝わっていくかという流れを記した図面です。単線接続図があれば現場全体の配線状況を一目で確認することができ、その建物の建設工事を進めていく際の重要な指針として活用することができます。

また、新築時だけでなく定期点検や保守作業でも単線接続図は系統や遮断位置の確認に役立ちます。ただし、実際の配線の線色・端子結線・ケーブル経路などの詳細は複線接続図、内部接続図、屋内配線図など別の図面で確認する必要があります。単線接続図は電気系統を理解するうえで非常に重要な図面であり、他の詳細図と併せて正確に整備・保管することが安全で適切な施工・運用につながります。

複線接続図

複線接続図は単線接続図に比べて、より詳細な電気回路の形が記載された図面になっています。単線接続図は全体の電気の流れをシンプルに書き示したものですが、対して複線接続図では回路の各所でどのように配線をするかが詳細に記載されていることが特徴です。この図面に従って適切な配線を行うことで、1つのスイッチで部屋の各所の照明を制御できるようにするなど、屋内の配線を実用的な形にすることができます。

複雑な結線を正確に施工するには図面が不可欠で、図面がないと現場で誤配線や混乱が生じやすくなります。現場では通常、施工の詳細指示として複線接続図が使われ、単線接続図と併用して管理・確認が行われます。

内部接続図

内部接続図は、主に制御盤・配電盤・機器の盤内配線や器具間の結線を詳細に示す図面です。端子番号、結線経路、線色、ケーブル種別、極性など施工・接続に必要な情報が記載され、盤内の配線や端子の取り回し・結線方法を明確にします。配電盤や制御盤だけでなく、機械や大型機器の端子接続や外部との結線指示を含むこともあります。

例えば飲食店の厨房で大型冷蔵庫を設置する場合、電力容量や専用回路の必要性、保護装置の定格など設計上の検討(機器配置図や電力計画)が行われ、その上で内部接続図は冷蔵庫の端子と供給側の結線を具体的に示します。内部接続図があることで施工・検査・保守が正確かつ安全に行えるため、電気工事現場では重要な図面です。なお、実際の設計・施工では各国・地域の法規や規格に従い、所定の資格を持つ技術者が作業を行う必要があります。

屋内配線図

多くの現場ではコンセントやスイッチ、照明やエアコンなどの機器が設置されますが、それらの機器に関する配線が記載されている図面が屋内配線図です。建物にもよりますが、例えば集合住宅における台所やトイレなどの水回り設備の建築時には、狭い空間内に多くの配線や設備が配置されることがあります。施工内容が複雑化しやすいため、その際は対策として部屋ごとに細かな配線図が作成されることもあり、柔軟かつ対応力に優れた施工を実現させるためには正確な屋内配線図の存在が欠かせません。

また、他の例としては工場のように多くの複雑な機械が設置される現場では、機械別に細かな屋内配線図が作成される場合もあります。今回ご紹介させていただいたように、電気工事で使用する図面には複数の種類が存在しているため、それぞれの特徴を把握しておくことが大切です。

電気設備施工図の作成手順をご紹介

電気工事の現場において重要な役割を担う電気設備施工図は、どのような手順で作成されていくのでしょうか。ここからは、電気設備施工図を作成する際の一般的な手順について、詳しくご紹介させていただきます。

電気の流れを決定(単線接続図)

電気設備施工図は、工事の品質を保持するためにも適切な手順で作成することが大切です。まず最初に行われるのは、電気の流れの決定です。すべての図面の基本となる建物自体の設計図を下敷きに、全体の電気の流れを決めた上で、単線接続図が作成されます。単線接続図が完成した時点で、初めて現場に関わる施工スタッフなどが現場全体の電気の流れについての認識を共有できるようになります。そのため、単線接続図の作成が電気設備に関する施工を行う上での最初のステップです。

配線に関する事柄を決定(複線接続図)

単線接続図に記載されている内容は大まかな電気の流れのみであり、この情報だけでは全体の把握は行えても、実際の電気工事を進めることはできません。そこで次に行われるのが、単線接続図の補足情報となる複線配線図の作成です。複線配線図を作成することで、単線接続図だけでは読み取ることができない施工の詳細が把握できるようになり、円滑に電気設備工事を進められます。とはいえ、まずは単線接続図がなければ複線接続図を作成することもできないため、図面作成時は手順を守ることが大切になるのです。

機器の接続を決定(内部接続図)

単線接続図から複線接続図を作成するという流れの通り、電気設備施工図の作成は順を追ってより詳細なものを作成していくことが基本になります。複線接続図はそれぞれの場所で、どのような形での接続が行われているかという内容を示したものであり、さらに詳細な接続に関する指示を示すためには内部接続図が必要です。

内部接続図は建物内における各種設備の場所を把握するために役立つ図面であり、設備ごとにどのような配線・接続が必要かという詳細な情報を確認できる図面です。機器の接続を決定する段階で作成される図面であり、内部接続図があれば、現場における作業効率と精度を高めることができます。

屋内配線・配置を決定(屋内配線図)

図面の作成が内部接続図まで進むと、特定の場所における接続の方法を詳しく読み取ることができます。また、ここまでご紹介した手順で図面上における現場の解像度を高め、初めて作成可能になるのが屋内におけるすべての設備や機器の配置・配線の方法を書き示した、屋内配線図です。屋内配線図では上述のようにマンションや工場など、さまざまな現場において、それぞれの現場の規模や性質に合わせて詳細な施工内容などを把握することができます。

また、詳細な配線図が必要となる機械の設置時にはリレーの仕方や安全装置の配置、必要な電圧などの情報も読み取れるため、施工時における現場の安全性を確保するために重要な図面です。

補足

・上記は一般的な流れですが、プロジェクトや現場の慣習により作成の順序や図面の呼称は多少異なる場合があります。

・図面どおりの施工を行う場合でも、各国・地域の電気法規や規格に従い、資格を持つ技術者が施工・検査・保守を行うこと、接地・絶縁・容量・保護装置の確認が必須である点を忘れてはいけません。

図面作成でのお困りごと

電気工事において、電気設備設計図や電気設備施工図を上手く役立てるためには、図面を解読できる者が立ち会わなければなりません。そして、それと同時に設計者は、図面自体を分かりやすく作成することが必要です。現場では複数人の作業員が従事することから、取引先と図面を共有しながら作業を進める場合もあるため、設計者や一部の者のみが解読できるような図面では活用することが困難になります。

しかし図面作成には、設備や機器の寸法、配線のサイズを細かく記していくため、時間を要します。また、手書きでは時間がかかる上にミスや誤差も起こりやすく、作成者によって仕上がりの品質にばらつきがあるのが難点です。

図面作成では、上記のようなお困りごとを抱えている業者様も多いのではないでしょうか。他の人にも分かりやすく、なおかつ統一性のある図面を作成するには、CADの導入がおすすめです。CADソフトでの図面作成はコンピューターを用いての作業となるため、作業時間短縮はもちろん、正確で明瞭な設計図・施工図の作成が容易にできます。CADシステムをまだ導入されていないという方は、ぜひ導入をご検討ください。

汎用CADと専用CADの違い

CADは、コンピューターで設計や図面作成ができるシステムのことで、汎用CADと専用CADの2種類があります。

汎用CADは本来、建築設計用に開発されたものです。そのため、建築業界での活躍場面が多いですが、どの分野にも共通する基本機能を装備しているため、幅広い業界で使用されています。CADを必要とする作業であれば、どの分野にも対応できる汎用性を持っており、フリーソフトも提供されていることから万人が使用できることが魅力です。

一方、専用CADは、業界や設計対象に特化した専用性の高いシステムのことを指します。特定の分野の設計を効率的に行うための専門機能を兼ね揃えており、複雑な設計や難易度の高い製図にも対応可能です。電気工事専用のCADであれば、電気配線の作画レベルも高く内容も的を得ているため、非適応箇所を手直しする必要がありません。また、コンピューターやソフトウェアでの設計には、コマンド(データ処理をするための命令)が重要ですので、各分野の専用コマンドを備えた専門CADの方が、汎用CADよりも正確かつ、確実に作業を進めることができます。

そのため、作業効率の良さや正確さを求めるのであれば、専用CADを利用することをおすすめします。

電気設備CADシステム「電匠NX」

電気設備工事向けCADシステム「電匠NX」には、スムーズで快適な作図業務を促進する便利な機能が多数搭載されています。電気工事の図面作成には、すでに多くの場でCADが導入されているものの、CADを使用できる者が限られていたり、操作が難しかったりといった悩みを抱えている会社が多いのが現状です。

本システムは、Officeソフト感覚でご利用いただけるため、特別な知識や訓練が必要なく、どなたでも扱うことができます。また、図面作成において手間取りがちな照明機器の配置も一括で行うことができ、照度計算や材料拾い出しも自動計算機能によって作業がはかどります。他にも、作成に時間を要する盤図・姿図・系統図を、図面情報から簡単に作成することができ、図面作成にかかる時間は、汎用CADのおおよそ4倍のスピードです。また、工事前のプランニングの際には、現場や事務所とコンピューター上で共有できる提案用図面や管理図面が役立ちます。

操作は簡単ですが、さらにサポート会員にご入会いただきますと、操作手順を専任インストラクターが現地レクチャーいたしますので、安心してご利用ください。その他ご不明点やお困りの点がある場合にも、遠隔操作にて全面的にバックアップいたします。

他にも機能が充実しているため、詳しい機能内容については資料請求、または製品ページよりご確認ください。

電気設備設計・施工図作成のことなら、専用CADの「電匠NX」を、ぜひご活用ください!

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