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製造業の仕掛品とは?仕掛在庫が増える原因と減らすための管理方法

製造業の仕掛品とは?仕掛在庫が増える原因と減らすための管理方法

配信日: 企画・編集・監修:株式会社システムズナカシマ マーケティング本部 Simpflex編集チーム

仕掛品とは工程途中にある未完成の製品

仕掛品とは、材料を投入して製造を開始したものの、まだ完成品になっていない製品や部品を指します。切削後で次工程待ちの部品、組立途中の製品、外注加工へ出している品なども、管理上は仕掛として扱う場合があります。

仕掛品そのものは製造に必要ですが、必要以上に増えると、保管場所を圧迫し、どの案件がどこにあるか分からなくなり、品質劣化や取り違えのリスクも高まります。仕掛在庫は工程の流れが滞っているサインとして見ることができます。

原因1:前工程が後工程の能力以上に作っている

前工程の設備が高速でも、後工程の能力が低ければ、中間在庫が増えます。各工程の生産量だけを評価すると、前工程は効率良く見えても全体のリードタイムは悪化します。工程間の滞留数量と滞留時間を確認し、ボトルネックに合わせて投入量を調整します。

原因2:大きなロットでまとめて流している

段取り回数を減らすために大ロットで生産すると、一つのロットが完了するまで次工程へ渡せず、仕掛が増える場合があります。移動ロットを小さくし、一定数量ができた時点で次工程へ流す方法も検討できます。ただし検査条件やトレーサビリティ条件を確認したうえで運用します。

原因3:材料不足や外注待ちで途中停止している

工程の途中で別部品が不足すると、加工済み品だけが仕掛として残ります。外注戻り待ち、図面確認待ち、検査待ちなども同様です。仕掛数量だけでなく「止まっている理由」をステータス化し、一定日数を超えた案件を確認することが重要です。

仕掛品を管理する単位を決める

仕掛品は細かく管理するほど正確になりますが、入力負荷も増えます。製番、ロット、オーダー、工程など、自社の納期判断や原価管理に必要な単位を選びます。保管場所も工程別・案件別など一定のルールを設け、現物とシステム上の状態を一致させます。

仕掛在庫を減らす5つの方法

仕掛削減は、現場へ「作りすぎないように」と指示するだけでは続きません。計画と評価方法を変える必要があります。

  • ボトルネック工程を把握し、その能力に合わせて投入量を調整する。
  • 大ロットを見直し、工程間で小さく流せるか検討する。
  • 停滞理由を記録し、材料待ち・検査待ちなど上位原因を改善する。
  • 仕掛の保管場所と案件表示を統一し、探索時間を減らす。
  • 工程別の出来高だけでなく、完成までのリードタイムも評価する。
仕掛回転と滞留日数を見る

仕掛金額だけでは、動いている仕掛と止まっている仕掛を区別できません。工程ごとの滞留日数、最終実績日時、次工程予定日を確認すると、優先的に対処すべき案件を見つけやすくなります。

月末棚卸のためだけに仕掛を集計するのではなく、日常の納期管理に使える情報として管理することが理想です。

実務で改善を定着させるための進め方

工程途中の仕掛品と滞留の削減を改善する際は、最初に現状値を残しておくことが重要です。改善後の状態だけを見ても、本当に効果があったのか判断できません。直近1〜3か月程度を目安に、仕掛数量、仕掛金額、工程別滞留日数、最終実績からの経過日数、工程間待ち時間など、自社で取得できる数値を案件・品目・工程など適切な単位で整理します。すべての指標を一度に集める必要はなく、現在もっとも困っている問題へ直結する2〜3項目から始めると運用しやすくなります。数値を取る目的は担当者を評価することではなく、どこに待ち・やり直し・判断遅れがあるかを見つけることです。

次に、工程途中の仕掛品と滞留の削減に関する「正本」と更新責任を明確にします。Excel、紙、メール、口頭指示が併存していると、同じ項目でも担当者によって参照先が異なります。納期、数量、ステータス、在庫、手配状況など判断に使う情報について、どの台帳やシステムを正とするか、誰がどのタイミングで更新するかを決めます。更新が遅れた場合の代替手順や、担当者不在時の引継ぎ方法まで決めておくと、属人化を減らせます。

運用ルールは通常ケースだけでなく、例外ケースを含めて設計します。製造現場では、特急受注、数量変更、設計変更、材料不良、外注遅延、再加工など予定外の出来事が発生します。例外が発生するたびに個別判断をしていると、情報更新が抜けやすくなります。「変更が起きたら何を確認するか」「どこまで戻って再計算・再手配するか」「関係部署へどう共有するか」を簡単なチェックリストにしておくことで、経験の浅い担当者でも同じ手順で対応しやすくなります。

システム化を行う場合も、入力項目を増やすこと自体を目的にしないことが大切です。現場で入力した情報が、納期回答、発注判断、在庫確認、原価分析など次の判断に再利用される設計になっているかを確認します。入力しても誰も見ない項目は定着しにくく、逆に必要な判断情報が足りないとExcelが再び増えます。導入時は実際の案件を使って、受注から完了まで一連の流れを試し、途中で紙や口頭へ戻る箇所を洗い出してください。

定着後は、週次または月次で仕掛数量、仕掛金額、工程別滞留日数、最終実績からの経過日数、工程間待ち時間を確認し、数値が悪化した案件だけを掘り下げます。全案件を細かくレビューするより、基準を超えた例外を重点的に確認する方が継続しやすくなります。改善施策を実施したら、一定期間後に同じ指標で効果を比較し、ルールを更新します。この繰り返しにより、担当者の経験や勘に依存した管理から、事実に基づいて判断できる管理へ移行できます。

改善会議では結果の数値だけを見るのではなく、数値が悪化した案件を2〜3件抽出し、発生時点、最初の判断、情報更新、関係部署への共有、最終対応の順に追うと原因を整理しやすくなります。工程途中の仕掛品と滞留の削減で問題が出たときは、特に「仕掛を管理する単位を決める」「工程間の保管場所を決める」が実際の運用で守られていたかを確認します。「担当者が注意する」で終わらせず、画面、帳票、通知、承認手順など再現できる仕組みに落とし込むことが再発防止につながります。

改善前後を比較するときは、繁忙期や案件構成の違いも考慮します。仕掛数量、仕掛金額、工程別滞留日数、最終実績からの経過日数、工程間待ち時間のいずれかが改善していても、別の指標が悪化していれば部分最適になっている可能性があります。たとえば在庫を減らした結果として緊急手配が増える、段取りを減らした結果として仕掛が増える、といった副作用も確認します。単一の数値だけで良否を決めず、納期、在庫、工数、品質など関係する指標を組み合わせて見ることで、現場全体として持続できる改善か判断しやすくなります。

現場定着の確認では、「前後工程の能力差を確認する」「大ロットを小さく流せるか検討する」のような日常業務が、担当者が変わっても同じ手順で実行できるかを見ます。操作方法を知っているだけではなく、入力する理由、入力後に誰が利用するか、異常時に誰へ連絡するかまで共有されていることが重要です。月に一度は実際の案件を一つ選び、受注・手配・製造・在庫・出荷など関係する情報を逆にたどって、抜けや矛盾がないか確認します。小さな確認を継続する方が、大掛かりなルール改定を繰り返すよりも定着状況を把握しやすくなります。

実務チェックリスト

運用を見直す際は、次の項目を一度にすべて完璧にする必要はありません。現在のトラブルに近い項目から確認し、改善後に次の項目へ進めると、現場負担を抑えながら定着させやすくなります。

  • 仕掛を管理する単位を決める
  • 工程間の保管場所を決める
  • 前後工程の能力差を確認する
  • 大ロットを小さく流せるか検討する
  • 材料待ち・検査待ちを分類する
  • 一定日数を超えた仕掛を抽出する
  • 前工程の出来高だけで評価しない
  • 完成リードタイムと一緒に見る
まとめ

仕掛品は製造途中に必要な在庫ですが、増えすぎるとリードタイム延長や探索・保管負担の原因になります。前後工程の能力差、大ロット、材料待ちなど停滞理由を把握し、滞留日数を管理することが改善の基本です。まず工程別に「何日以上動いていない仕掛があるか」を確認してみましょう。

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