一般住宅における給排水設備工事とは

新築の住宅を建てる際、水道を開設するための給排水設備工事は住民が生活を始める前に必要不可欠な工事です。そのため、 水道工事に携わる際は給排水設備の具体的な機能・役割について、正しい知識を身につけることが大切です。
そこで今回は、一般住宅における給排水設備と 工事内容について、詳しくご紹介させていただきます。水道工事に携わっている方や給排水設備工事について知りたい方の参考になれば幸いです。
給排水設備ってなんのこと?
まず、給排水設備という言葉は、住宅のどのような設備を指しているのでしょうか。
給水設備とは、一般住宅へ水を供給するための設備の総称であり、 排水設備は使い終えた後の汚水などを排出するための設備の総称です。給排水設備とひとくくりに呼ばれることが多いですが、工事や役所への届け出においては、 この給水設備と排水設備が別個に扱われています。
給排水設備は、都市に張り巡らされている上水道や下水道と必ず接続されており、その管を介して、水の供給と 排出が行われます。もし水道本管と住宅の給排水設備をつなぐ工事に不備があれば、広範囲に悪影響が及ぶ可能性があります。そのため、給排水設備工事は非常に重要であり、 各自治体によって厳しく管理されています。
また、給排水設備工事は、各自治体の指定工事店に認定された業者のみが行うことができます。この点は重要なポイント です。
給水設備工事とは
給排水設備のうち、給水設備工事について詳しく見てみましょう。ここでは代表的なものをいくつかご紹介させていただきます。
まず、給水を行うために必須となるのが、道路の下にある上水道管から水を引き込む目的で設置される給水管です。給水設備工事によって上水道管と給水管を接続し、 蛇口などの給水用具から飲料水や生活用水が供給されることになります。マンションなどの共同住宅の場合は、上水道から引き込まれた水を一時的に貯めておくための 貯水槽の設置工事が行われ、給水設備の1つとして活躍します。
貯水槽には、地上や地下に設置されるタイプと屋上に設置されるタイプが存在していますが、 いずれも水を貯めておくという点に変わりはありません。また、建物の構造によっては圧力をかけるという手段で水を運ぶケースがあり、その場合は加圧を目的とした給水ポンプの設置工事が行われます。
他にも、入浴や料理にお湯を使うための給湯設備、使用した水量を計測するメーターボックスなどの設置も快適な日常生活を送るために欠かせない給水設備工事です。
給水設備工事には、水を供給するために欠かせない多種多様な工事が存在しているため、工事に携わる際は幅広い知識と豊富な経験が必要になります。
排水設備工事とは
次に排水設備工事について、詳しく見てみましょう。私たちが日常生活を送っている中で、料理で利用した後の水や入浴・トイレの後の水は汚れているため、 このような汚水を自然に還してしまうと水源が汚染されてしまいます。そんな事態を防ぐために、使用後の水を下水道へ送り、浄化を施してから自然に還すというのが排水設備の目的です。
排水設備のうち最も代表的なものは、用途を終えた水を下水へ送るための経路として働く排水管です。排水管を設置する際は、給水管の工事と同様に地面を掘削し、 地中の水道管へ接続する工程が必要になります。また、給水管や排水管の工事を行う際は、道路の下に通されている水道に接続する必要があるため、多くのケースで道路の通行を止めなければなりません。 通行を止めると交通の妨げになってしまうため、水道工事はスケジュール通り円滑に進めることが求められます。
他にも、汚水を一時的に貯めておくための汚水ますや、 雨水を下水に流すための雨水管・雨水ますの設置も、重要な排水設備工事と言えるでしょう。
宅内工事と屋外工事
給排水設備工事には、宅内工事と屋外工事という区分が存在しています。
給水設備工事における宅内工事は、水道メーターから蛇口までの部分にあたる工事を指しており、 排水設備工事の場合は屋内の排水口などから屋外の配水管までの部分を指しています。また、屋外工事は公共の水道管と接続するための上記以外の範囲の水道管工事を指しており、 ]それぞれで行われる工事内容は異なっていると認識しておきましょう。
宅内工事については、水漏れや蛇口の修理・交換など、指定業者以外でも取り扱い可能なケースもありますが、 屋外で行われる水道管に干渉する工事は指定業者のみが取り扱えます。
給排水図面とは
給排水図面の概要
給排水設備に関する配置や形状、各種データが細かく記載された図面が給排水図面であり、この図面がなければ給排水設備に関する施工や管理を適切に行うことができません。 給排水図面には、配管経路や管の大きさ、接続箇所などが正確に記載されており、最初の施工時だけでなく、以降のメンテナンスなどにおいても図面が重要な資料となります。
給排水設備は、配管が交差する部分や接続する部分など、複雑な形状になる部分が多く、地中に埋設されていたり階上に引き上げられたりすることから、高低差も生まれます。 そのため、断面の収まりを把握できるように記載する必要があり、平面図だけでなく、断面図や立面図などを併用しながら詳しい図面を作成しなければなりません。
給排水図面作成の流れ
給排水図面の作成時には、まず施主やオーナーの意向を反映させつつ説明や確認を行うため、建築士との打ち合わせが行われます。打ち合わせで確認した内容を図面に反映させながら作成するのが、基本設計図です。
続いて基本設計図から実施設計図が作成され、一般的な意匠図や構造図、設備図などが含まれた図面が作成されます。この実施設計図を元に設備図面が作成され、現場における実際の施工時に作業員などが情報を 確認できるような状態に仕上げられていくのが、各種施工図です。
施工図はさまざまな種類が必要であり、平面詳細図・躯体図・総合図などの図面が現場の環境や規模に応じて作られていきます。 この施工図は現場における実際の作業で使用されるため、仮に内容に誤りがあれば、施工のクオリティ低下やトラブルに繋がってしまうため、注意が必要です。記載漏れやデータの抜け、記述内容の誤りがないかを 入念に確認して、ミスがないことが確認された上で、実際に現場にコピーされたデータが渡されます。
給排水図面は、現場の要となる存在であり、ミスなく正確な図面作成作業が求められます。 そのため、作成を担当する際には、慎重な姿勢で作業していくことが大切です。
給排水図面の種類
建築図
意匠図
建築構造図
空調設備設計図
電気設備設計図
建築躯体図
系統図
建築詳細図
取り合い調整図
給排水図面作成の注意点
分かりやすい図面を意識する
平面図と立体図の使い分け
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