TRSⅡ | 改修工事総合支援システム
TRSⅡコラム

大規模修繕に使えるシステム

大規模修繕に使えるシステム
改修工事は、調査提案から竣工後のフォローまで数か月〜数年に及ぶ長丁場です。
人・物・金の流れが複層的に入り組むため、「どの工程でどのデータを扱うか」を決めないと、手戻りや説明コストが雪だるま式に膨らみます。
本稿では大規模修繕を5フェーズに区分し、シーンごとの課題を解きほぐしながらシステムの使いどころを整理しました。
工事会社の皆さまが自社フローを点検する際のチェックリストとしてご活用ください。


1. 大規模修繕の全体フロー

改修工事は「①調査提案 → ②見積契約 → ③施工準備 → ④施工 → ⑤アフター・保守」の五段階で進行します。
各段階で扱う情報粒度とステークホルダーが変わるため、図面・数量・工程・労務・品質記録をどうリレーするかが成否の分岐点になります。特に「施工」フェーズは、工程管理・写真管理・出来形管理・作業員のスケジュール管理・出退勤管理・安全教育・原価管理など情報量が爆発的に増えるため、前後工程と切り離さず同一プラットフォームで統合する設計が欠かせません。


2. シーン別システム早見表

下表は、各フェーズで頻出する課題と、その解決に役立つ代表的なシステムを一望できる“早見表”です。
左列が工程、中央列が現場で顕在化しやすい課題、右列がその課題に対して効果を発揮するシステムのカテゴリを示しています。
自社ですでに導入済みのツールと照らし合わせ、空白になっている工程こそが「手戻り・属人化・説明負荷」の温床になりやすいポイントです。

拾い積算の対象とポイント
シーン主な課題必要システム
企画・提案 潜在案件の掘り起こし/劣化診断・数量根拠の可視化 CRM・SFA、CAD、数量拾い+見積連携、ドローン点検アプリ、電子契約
施工準備・施工管理 図面・工程・労務・品質記録のリアルタイム同期 CAD、施工管理、写真管理、勤怠・作業員スケジュール、原価請求管理、グループウェア(情報共有)
竣工後・アフター 保証履歴の資産化/再提案への布石/長期修繕計画 CRM、ファシリティマネジメント、IoTセンサー、保守


3. フェーズごとの課題とDX戦略

3-1 調査提案フェーズ

潜在顧客の課題を“数値と図”で示せるかが受注率を分けます。外壁赤外線撮影やドローン点群計測の結果をCADに取り込み、劣化長さ・面積を自動算出して図面上にマーキング。提案書には数量根拠を添付し、値引き交渉の場面でも説得力を保てます。商談状況をCRMやSFAに案件データを送り込み、熱量の高いオーナーを可視化すれば、的確な追客が可能になります。

3-2 見積契約フェーズ

数量拾いと見積ソフトが分断されていると、図面改訂のたびに二重修正が発生しがちです。数量拾いシステムと見積ソフトを活用することで図面更新の際も少ない作業で見積に反映させることで工程短縮とミス削減を両立。施主とのコスト合意形成がスムーズになり、「仕様変更=赤字要因」という従来の構図を打破できます。

3-3 施工準備フェーズ

足場計画と工程シミュレーションを連動させ、安全・コスト・景観を三位一体で最適化します。足場CADで88申請など工事前に必要な書類作成の工数を削減、工区ごとの資材使用量を自動算出。現場事務所ではBIMで協力会社と3D俯瞰を共有して数量・荷重・搬入経路を即時確認。事前の納まり検討が徹底できるため、現場発生材のロスが抑えられます。

3-4 施工管理フェーズ

現場では「証跡」と「見える化」が品質を決定づけます。モバイル施工管理アプリで日報・出来形写真・検査成績をリアルタイム共有し、クラウドの数量台帳と突合。写真管理では、電子黒板などの機能を備えたシステムを用いることで現場へ持ち込む物がへり安全性も確保できます。作業員スケジュール管理では顔認証打刻や資格チェック・建設キャリアアップとの連動をさせることで作業員のスキル管理も可能です。出退勤管理は協力会社ごとに勤怠CSVを生成し、36協定超過や残業見込みを可視化。

3-5 アフター・保守フェーズ

保証期間中の定期点検データを電子蓄積しておくと、次回修繕提案の根拠になります。定期的な訪問で得た情報をCRMに蓄積し、工事個所の変化などを確認し施主に報告を行う事で信頼を獲得できます。劣化予測を長期で俯瞰でき、資金計画をオーナーと共有しやすくなります。定期報告書もテンプレート自動生成で、現場担当の事務負荷を軽減します。


4. TRSⅡで得られる効果

  • 劣化図と積算を同時生成: 下地機能でひび割れ・欠損を図面にマーキングすると、数量明細・集計表が即座に自動出力されます。調査提案フェーズで根拠付きの補修提案を短時間で用意でき、見積契約までのリードタイムを大幅に短縮します。

  • 図面連動型拾いで精度向上: 拾い機能はPDやスキャン図面を読み込み、マウス操作だけで部位を指定すると数量を可視化。作図と積算を一工程化し、汎用CAD比で3〜4倍の生産性を実現します。手拾いの属人化を抑え、積算根拠をデータで共有できます。

  • 足場機能で88条申請図までカバー: 平面割付シミュレーションと立面自動作図により、工事計画図と労基法88条申請図をワンストップで生成。資材数量も同時算出できるため、施工準備フェーズの図面・積算・申請業務を一本化し、書類作成の負担を軽減します。

5. まとめ

大規模修繕は、調査提案から保守まで段階ごとに関係者とデータが増え続ける長期プロジェクトです。図面、数量、足場計画、写真、勤怠といった情報が途中で途切れると、手戻りや説明に余計な時間が掛かります。まずは自社の業務を「調査提案」「見積契約」「施工準備」「施工管理」「アフター」の五つに分け、その中で「調査結果が拾い・積算へ正しく引き継がれているか」「変更に伴う図面と各種数量などの差異が発生していないか」「施工中の情報が一元的に管理され写真や出来形が工程・労務と紐づいているか」などを点検してみてください。

連携の甘い部分には、劣化図作成ツールや数量積算システム、足場専用ソフトなど、目的に合った専用システムを段階的に組み込むことでムダを削減できます。自社の業務フローに合わせて「データが途切れない導線」を整えることが、受注力と施工品質を高める近道です。


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