TRSⅡ | 改修工事総合支援システム
TRSⅡコラム

マンション修繕工事にかかる費用──足場・外壁・共用部の算出方法と最適化ポイント

マンション修繕工事にかかる費用──足場・外壁・共用部の算出方法と最適化ポイント
マンションの修繕費用は「いつ・どこを・どのレベルで」直すかによって大きく変動します。 外観や資産価値を維持するための定期修繕はもちろん、安全・防水・耐久性能の確保まで視野に入れると、足場や外壁、共用部、設備など多岐にわたる項目を同時に精査する必要があります。 本稿では工事会社の実務担当者に向け、代表的な費用構造と算出ロジック、そして精度向上のヒントを体系的に解説します。

2. 費用を左右する3つの変動要因

  • 規模と形状 ─ 建物の高さ・階数・凹凸といった物理条件は、足場材の量や外壁面積、運搬動線の難易度に直結します。特にタワー型やL字型は、単純矩形よりも補助材が増え、同じ面積でも総額が膨らみやすい点に注意が必要です。

  • 仕様グレード・工法 ─ 素地調整の深さ、塗料の期待耐用年数、防水層の積層厚さなど「どこまでやるか」で材料費と人工手間が変わります。単価が同じでも工程数が増えれば仮設日数が延び、現場経費が増えるため、目的に合ったスペックの見極めが欠かせません。

  • 市場環境と資材・人件費 ─ 近年は資材価格・人件費ともに上昇傾向が続いており、相場単価が毎年数%ずつ見直されるケースも多く見られます。施工時期を分散する、資材を早期手配するなど調達面の工夫によって、予算ブレを抑える余地があります。

3. 足場費用の算出方法

足場工事は「㎡単価×架設面積+運搬・諸経費」が基本式です。相場は一㎡あたり数千円前後で推移しており、改修期間が延びるとリース料が日割り加算されるケースもあるため、工程短縮がダイレクトにコスト削減へ結びつきます。高層階では外壁改修用のゴンドラ併用や超高層専用足場を導入する場合があり、一般的な単価を大きく上回ることも珍しくありません。安全係数を確保しながら無駄な敷設を抑えるためには、設計段階で立地と作業動線をモデリングし、部材リストを数量リンクで管理する手法が有効です。


4. 外壁改修費用の算出方法

外壁改修は塗装・タイル補修・シーリング更新など多層的な作業で構成され、要素ごとに単価レンジが異なります。中低層マンションの塗装工事であれば総額は百万円前後から、規模が大きく仕様グレードを上げるとそれ以上の費用がかかります。単価ベースでは一㎡あたりおおむね1万円未満が一般的ですが、下地調整率や塗料グレードによって上限を超えることもあります。数量根拠を図面に紐づけて持つことで、塗布量の過不足や工程抜けを防ぎ、塗料のロスを低減することができます。


5. 共用部改修費用の算出方法

共用部はエントランス、廊下床塗装、照明更新、手摺交換など多岐にわたり、数量把握が煩雑です。1戸あたり換算で数十万円規模、総額では百万円から数千万円に及ぶケースも少なくありません。特に廊下床の長尺シート張替えは一㎡あたり数千円、LED化は器具交換で数万円程度が目安です。工種横断で仮設や搬入経路を共通化できれば、分離発注よりもコストが圧縮できる局面が多く、施工手順の編成が重要となります。


6. その他主要工事と費用感

屋上・バルコニー防水は一㎡あたり数千円から、給排水設備更新は戸当たり数十万円規模が相場です。戸数が多い大規模マンションでは共用設備に集中投資する傾向が強く、結果として修繕積立金不足に陥りやすい点に留意が必要です。国土交通省の調査でも一次修繕費は1戸あたり百万円程度と報告されており、資材高騰に伴いさらなる増額が予想されます。相見積もり時には数量内訳と単価の妥当性をセットで検証し、過度なVE提案が長期性能を損なわないか確認しましょう。


7. 費用シミュレーション早見表

以下の早見表は、現場で拾い出した数量を基に大まかな費用感をチェックするための参考指標です。実際の金額は建物の規模・形状、仕様グレード、地域の労務・資材相場によって変動します。詳細見積もりを行う際は、積算ツールや最新単価データベースと照合し、仮設や工程の重複を含めた精緻な算出を行ってください。また、改修工事総合支援システム「TRSⅡ」を活用すれば、拾い数量から積算までを一気通貫で連携でき、再入力ミスと工数を抑えながら根拠ある提案書を短時間で作成できます。

費用シミュレーション早見表
項目概算式ポイント
足場 足場面積 × 数千円前後/㎡ 高層や凹凸が多いファサードでは面積係数が大きくなりがち。架設日数が延びるとリース延長料が上乗せされるため、工程短縮の進捗管理が費用抑制のカギとなります。
外壁 外壁面積 × 数千〜1万円前後/㎡ 塗料グレードと下地補修率がコストドライバー。例えばタイル補修率が数%を超えると仮設延長・材料追加が発生しやすく、予備費を含めたWBS(作業分解構成)管理でリスク分散を図ります。
共用部 戸数 × 数十万円規模 設備更新や内装意匠のアップグレード有無で幅が広い。長期修繕計画とリンクさせ、優先度の高い安全関連工事から着手するとキャッシュフローの山を平準化しやすいのが実務的メリットです。


8. コスト最適化の実務ポイント

コストを抑えながら品質を確保するには、①面積・数量を図面上で根拠化する、②相場単価を最新データで更新し続ける、③工程を横串で可視化し仮設を共有する──の三段アプローチが有効です。TRSⅡなら、図面で拾った情報がそのまま「根拠付きの数量明細」として生成され、ワンクリックでExcelへ書き出せます。 図面・数量・集計表を同じ流れで扱えるため、従来は別工程だった作図と積算を同時に進行でき、入力転記や数値照合に費やしていた時間を大幅に短縮できます。下地・拾い・足場という3つの専用モジュールが連携しているので、一度指示した部位データを繰り返し流用できる点も実務にやさしい設計です。また、図面上に数量根拠が残るため、社内レビューや施主説明で「どこをどう積算したか」を即座に示せるようになり、見積精度と信頼性の底上げにつながります。


9. まとめ

マンション修繕費用は「規模・仕様・市場」の三要素が複雑に絡み合うため、概算でも裏付けとなる数量と単価を整理することが不可欠です。足場・外壁・共用部の主要三領域を押さえつつ、防水や設備といった周辺工事も早期に検討することで後戻りを防げます。図面連動型で作業を可視化できる仕組みを取り入れ、根拠のある積算と工程管理を実現し、住環境の安全と資産価値を長期にわたって守りましょう。


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