NICE営業物語 on kintone | kintoneで構築したSFA・営業支援システム

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 強い営業育成講座! 強い営業の心得

強い営業の心得とは?売れる営業と売れない営業の違い

営業と聞くと、昔は上司や先輩の背中を見ながら、気合と根性で立ち向かっていくというイメージがありました。しかし今の時代、精神論で営業が成り立つ時代ではなくなっており、気合と根性だけで容易に売り上げを上げられる世の中にはなっていないのです。ここでは、筆者の経験をもとに、科学的かつ理論的に“できる営業マン”の育て方をご紹介いたします。


強い営業の心得とは?売れる営業と売れない営業の違い

売れる営業を育て、“売れる営業組織”を作るには?

 私の所属しているシステムズナカシマという会社は、IT関連のシステム開発が生業なのですが、パッケージソフトの開発と販売を行っている部門があるため、営業関係者が40名もいます。営業は一人で直販と代理店販売の両方を担当し、商品知識はもとよりあらゆる見込み客に対する提案ができるスキルを求められます。

 特に、14年前に自社用に開発したSFAシステム「NICE営業物語」を社外へ販売するにあたり、さまざまな顧客の営業スタイルに接する機会ができました。当時はSFAという言葉はなく、営業情報管理システム、営業支援システムなどという名前で販売していました。とにかく営業部門を持っているあらゆる業種の会社と接することができるわけですから、考えようによってはこんなに面白い仕事はありません。反面、我社の営業はそれらの会社に対して提案しなければいけないので、相当なスキルを求められるわけです。

 顧客に対して当社のSFAシステム 「NICE営業物語」を使って強い営業を作ってもらう提案を行いながら、自社の営業も強化していかなければいけません。このような環境の中で売れる営業作 りは最重要テーマであり、私自身、いまだに日々悩み続けています。当コラムではこれまでの経験に基づき、どうしたら「売れる営業」を育て「売れる営業組織」を作り上げることができるかについて述べてみたいと思います。


“営業志望者”が減ってきている!?

昨今、新卒も含めて事務職や技術職を希望するケースが多く、営業を希望する若者が減っています。我社でもその傾向があり、新卒採用で営業を希望する学生は一割もいません。先日も有名私立大学の教授から、営業がどのような職種であるか理解している学生が少ないので「営業学」について具体的な事例紹介を中心とした講義を計画したいとの相談がありました。

 余談になりますが、よく考えてみると私自身も、我社の母体となる船舶用推進器の製造メーカーであるナカシマプロペラに入社した当初は、営業を敬遠して業務系事務職を希望していました。現場実習を終えて予定通り営業本部の貿易業務担当の部署へ仮配属され、ホッとしていた矢先に新人歓迎会の席で挨拶代わりに当時趣味で習っていた手品を 披露したところ、営業担当役員の目に留まり、その度胸とエンターテインメント性が営業に向いているとの理由で翌月から国内造船所担当営業の部署に本配属となってしまいました。

 正直なところ営業職など自信もなく全く想像もしていなかったので、夜も眠れないほど困惑しましたが、だんだんと面白さを実感するようになった経験があります。今思えば、手品を披露したばかりに営業の道を歩むことになり、このようなコラムを執筆させていただいているわけです。人生とはそういうものである…と納得できる歳になった自分がここにいるのも感慨深いものがあります。

 私を営業に配属した元役員は現在もご健在で、今となってはゴルフをご一緒する仲になっていますが、私の感性を見抜き、営業という天職を与えていただいたことに大変感謝しています。


第一回:「売れる営業」と「売れない営業」

営業の質の割合

さて本題に戻りますが、営業レベルは3段階に配分されます。「売れる営業」と「普通の営業」と「売れない営業」です。これはほぼ“2:6:2”の割合になると昔から言われています。

「売れない営業」を「売れる営業」にするのは至難の業であり、相当な労力を費やさなければいけません。育成を断念して転属させざるを得ないケースもあります。しかし、不思議なもので「売れない営業」を切ってもまた2:6:2に配分されます。「売れない営業」を切ってしまえば営業全体のレベルが上がるように思われますが、ことはそう 簡単ではありません。しかし、これまでの私の経験では「普通の営業」を「売れる営業」に育て上げることは、できない話ではありません。
どのようにして「売れる営業」を育てるかについて、私自身取り組んでいる最中ですが、今後のコラムの中でその取り組みについて述べてみたいと思います。


「売れる営業」のフレームワークを作る

一般的には、売れる営業を調査、分析した結果をもとに、雛形を作ることが重要となります。この雛形はフレームワークとも言われています。

私が入社一年後に担当した造船所向けの船舶機器営業では、先輩が同行してOJTを実施してくれました。しかしながら困ったことに同行する先輩ごとに方針が違ったり、客先での対応が違うため、何が正しい方法なのかわからなくなることがよくありました。当時はフレームワークなどという考え方はなく、ただ勢いさえあれば売れた時代です。そういった意味では、簡単には売れない時代になったおかげでこのような手法が生まれ、売れる営業が分析されてフレームワーク化されることは喜ばしいことだと思います。

しかし、このフレームワーク作りは思ったほど簡単ではありません。営業と一言で言っても様々なパターンとシーンがあり、フレームワークもそれらに合わせて複数作成する必要があります。
たとえば以下の通りです。

  1. 新規顧客拓時のフレームワーク
  2. 定期訪問のフレームワーク
  3. 商品説明のフレームワーク
  4. 価格交渉時のフレームワーク
  5. クレーム対応時のフレームワーク

優秀な営業をモデルにして、フレームワーク作りを始めても、なかなか簡単に出来上がりません。当社の例でいうと、優秀な営業自身がなぜ売れているかを把握していないケースがほとんどです。本人曰く「当たり前のことを普通に実行しているだけです」との回答が返ってきます。しかし、この当たり前のことを実行し続けるというところに、その凄さと秘訣が隠されていることに気付かなければいけません。

訪問前にはコツコツと提案書を作成して、リハーサルを行い、訪問後は小まめにフォローの電話を入れて客先の関心を繋ぎます。この行動を第三者が観察することにより、やっと「売れる営業」のフレームワークが出来上がります。自社だけで作成が困難な場合は、専門のコンサルタントに依頼するのも良いかもしれません。

これらのフレームワークができたとしても、一般的な営業がこれを実践すると売れる営業になれるかというと、ことはそう簡単ではありません。なぜならそこに本人が持っている感性の上で実行されるからです。


「売れる営業」の感性

さて、この売れる営業としての感性が一番重要であり、これを身に着けさせるのが至難の業なのです。これをフレームワークにする方法については、残念ながら私自身いまだに見出せていないのが正直なところです。

優秀な上長が、売れない営業と時間をかけて対話し、臨機応変に指導し、寝食を共にするくらい一緒に行動すれば売れる営業に育つ可能性がありますが、感性を植え付けるという意味では絶対とはいえません。「感性とは生まれ持ったものの上に、自己努力によって時間をかけて形成していくものである・・」と言われていますが、まさにその通りです。この「生まれ持ったもの」という考え方はあまり好きではありませんが、これまで多くの営業マンを見ていて納得せざるをえません。

感性とは異なりますが、与えられた課題に積極的に取り組む前向きな思考を持つことは重要です。
与えられた課題に対して、できない理由を言うような営業は絶対に「売れる営業」にはなれません。感性が備わっていなくても、まず「どうやったらできるだろうか?」と考えることは、営業としての最低条件です。


「売れる営業」は30歳までに形成される!

営業は30歳までに鍛えなければいけないというのが持論です。歳を重ねるにつれ自分を変えることができなくなります。営業は七変化といわれるくらい、客に合わせて自分を演出できなければいけません。このためには、30歳までにこの手法を理解し、どんな役でも演じることができる「売れる営業」になれるよう、「引き出し」を増やしておく必要があります。

ではこの「引き出し」を増やすにはどうするか?まず、売れる営業となる基本は器用さです。生まれつき器用な人は問題ありませんが、そうでない人は器用になる努力をしなければいけません。それが苦痛な人は営業に向いていないと言わざるをえません。器用であれば、上手な人のマネをすることができ、そのうち自分のものとして身につけてしまいます。これが「引き出し」の数として増えていくのです。

世の中にはアドリブの上手な営業がいます。客先からのとっさの質問に、その場の雰囲気や商談の状況を考慮して、即興で答えることができる能力を持っている営業です。まさに「売れる営業」の鏡といえるでしょう。このような営業マンになるためには30歳までにいろんな経験をしてこの「引き出し」を増やすことが重要なのです。

中には、成長を断念し見放した中年の営業が、新天地で成功するケースも希にありますので、一概に30歳までと言い切ることはできません。しかし、予想通り挫折していくケースが殆どです。業種によって違いがありますが、技術職が営業職へ転属され、「売れる営業」になったというケースもあまり聞きません。本物の「売れる営業」は30歳までに鍛えられるのです。

第三回:強い営業の心得 ~其の一~

ここでは「売れる営業」となる心得について述べてみたいと思います。思いつくままに書き出してみると、予想以上に多くの心得があることがわかりました。

営業としての基礎的な資質はもちろん必要ですが、それにプラスして以下のようなことを心得として意識することにより、「売れる営業」が創生されます。製品知識がいくらあってもこれらの心得がないと「売れない営業」になってしまうのです。読者の中で営業職の方は、自分自身でチェックしてみるのも良いでしょう。


営業としての基本的なマナー

身だしなみ・服装は最低限のマナー

“外見で人を判断してはいけません”とそう家庭や学校では教えられてきたと思います。しかし世の中は、本音と建て前というのがあり、“外見で人を判断してはいけません”は建て前、本音では多くの人が外見で人を判断してしまっているのです。

身だしなみや服装は社会人としての基本であり、さらに営業の前に1人のビジネスマンとしてのマナーでもあります。身だしなみを整えたり、それなりの服装に身を包んだりすることはビジネスマンとして、お客様を訪問する際の最低限のマナーであると心得るべきと考えます。

とはいってもむやみにお金をかけるということではありません。相手に不快感を与えない清潔感のある服装と身だしなみが大切ということです。もし、自分がクライアントの立場で、身だしなみにも服装にも無頓着な営業マンが来たらどう思うか想像してみてください。皺のできたスーツやよれよれのジャケット、シャツにはラーメンの汁が跳ねたようなシミが付いている。おまけに靴は泥が付いていつ磨いたのかもわからない。こうした営業マンが来社して、いくら素晴らしい商品を説明されても契約する気にはなれませんよね。

一方で、身だしなみというもの重要です。ブランドもののスーツに、ピカピカの靴、でも寝ぐせが直っていない髪、しかもボサボサ。さらには、髭も剃っていないとなると営業マンというよりビジネスマンとしての資質を疑ってしまいます。しかも、商談の相手が女性だった場合、寝ぐせ、ボサボサあたま、無精髭この3セットで間違いなく商談は不成立となる確率がグーンと高くなってしまいます。

笑顔を大事にする

“笑う門には福来たる”のことわざがあるように、笑顔は自分だけでなく相手もリラックスさせる効果があるといわれています。服装や身だしなみと同じように、顔の表情というのも大切です。笑顔であるかどうかで、その人の第一印象の良し悪しが決まる場合があるのです。

笑顔の営業マンは親しみやすさがあるだけでなく、信頼感も相手に与えます。
営業マンが笑顔なのか、それとも苦虫を噛み潰したような顔なのかによって、商談そのものが大きく左右するといっても言い過ぎではありません。満面の笑顔だとその場の空気も明るくなり、親しみやすさだけでなく、話しかけやすくなります。笑顔の営業マンと仏頂面の営業マン、どちらが話しかけやすいかといえば、笑顔の営業マンであることは言うまでもありません。

仏頂面と同じくらい不可なのが、無表情というのがあります。楽しいのか、楽しくないのか、怒っているのかそうでないのか、何を考えているのか分からないのが無表情というやつです。何を考えているのか分からないと、相手は次に何を言ったらよいのか分からなくなり、次第に警戒心を抱かせてしまうこととなります。

営業には笑顔が重要だと言われても、どんな時でも笑顔ばかりではいられないと思うかもしれません。たとえ作り笑いであっても、仏頂面や無表情に比べたらはるかに効果的なのです。たとえ作り笑いであっても笑顔は自分を元気にしてくれますし、それが相手にも連鎖して結局は商談の場を和やかなムードにしてくれます。

遅刻は厳禁

通常、商談や面談は時間が決まっていますね。それに遅れてしまうということは、約束を破ったこととなります。約束を破った営業マンをお客様は信用してくれるでしょうか。

受注・商品の購買に行きつくには顧客との信頼関係が重要であることはビジネスマンであれば、誰でも理解できることです。遅刻は信頼関係を崩す要因の1つであるといわれています。遅刻という約束を破ることでお客様からの信用度は低下しています。自分からしてみたら、たかが5分の遅刻でもお客様からしてみたら貴重な5分なのです。こうしたことが今後の信頼関係を崩しかねない要因となっていきます。

しかし、遅刻に限らず、相手との約束は必ず守ることがビジネス社会のルールです。たとえ些細な約束でもお願いした方は覚えているものです。小さな約束でも忘れたり、実行されないと相手からの信頼感がなくなるだけでなく、不快感も与えてしまいます。

商売(ビジネス)はお互いが取り決めた約束ごとの積み重ねで成り立っています。商品の価格、数量、納期、支払い期日など相互の取り決めた約束が円滑に進めば信頼関係は強くなっていきますが、その約束が守られないと信頼関係は薄らぎついには破談、取引停止となってしまいます。遅刻一つとっても約束したことは守らないといけないのです。


【売れる営業の心得】~其の一~

  1. プライドと謙虚さの両方を持つ
  2. 危機感を持つ、自分を追い込む
  3. 常に改善意識を持つ
  4. 営業という仕事にワクワク感を求める
  5. 「考える営業」として市場センサーを持つ

プライドと謙虚さの両方を持つ

営業としてのプライドとは、自分が売っているから会社が儲かっている、会社を代表して客先対応しているなど、さまざまな思いがあります。「売れる営業」は自分の存在価値を明確に持っており、プライドを秘めているものの決して表へは出しません。周りから褒められても常に謙虚で、「いえいえ、まだまだです」、「皆さんのお陰で売上が伸びました」などと答える姿を見かけます。この姿勢は客先に対しても同様であり、結果として好印象と信頼を得るわけです。
「私はこれだけ頑張っている!」と公言する営業は、残念ながら成長は見込めません。自ら限界を公言しているようなもので、目標設定が低いのではと疑われてしまいます。たまには自分自身へのご褒美も必要かもしれませんが、「売れる営業」は常に自分に厳しくし、その厳しさの中から見えてくる上のステップへの道を掴み取ります。

危機感を持つ、自分を追い込む

「売れる営業」は常に危機感を持っており、自分を窮地に追い込むことにより、思いもかけない力が出ることを知っています。常に目標意識を高く持って、達成のために全力投球し、達成したとしても次の更に高い目標に向かって進んで行きます。自分でこなせる限界を超える仕事を抱え込んで、自分を追い込んでいくことにより、知らないうちに限界を広げて、仕事をこなしている自分を見つけることができます。こんな経験がある営業マンはまさに「売れる営業」なのです。

常に改善意識を持つ

「売れる営業」は自分の行動に対して、いつも改善意識を持っています。「もっと効率良く売るにはどうすればよいか?」「客先との関係をさらに深めるにはどうすればよいか?」「営業事務の効率を上げるにはどうすればよいか?」など、常に悩んでいます。改善策を見つけて実行しても、また次の改善を思いつき悩み続けます。これにより、営業の動きが常に改善され、成熟した営業スタイルが形成されていくわけです。現状に満足して悩みのない営業が多い組織や会社は成長しません。

営業という仕事にワクワク感を求める

私は仕事がら毎日いろんな営業マンと会いますが、元気が良く生き生きとしている営業マンに会うことがあります。営業を天職と考え、多くの客と会うことを喜びとし、自分の提案を聞いてもらえることを感謝している営業マンです。こんな営業マンと話しているとこちらまで元気になり、なにか一緒にビジネスができないかと考えてしまいます。
逆に、モチベーションが下がった営業マンが来ると、会社や組織、あるいは取り扱っている製品に何らかの問題を抱えているのでは・・・と疑ってしまいます。また、そのような営業を送り込んでくる会社の体質も疑われてしまいます。そいう意味では、営業は会社の看板ですので、客先に応じて適任の営業を送り込むことが重要となります。

「考える営業」として市場センサーを持つ

与えられた製品を売るのが営業の仕事ですが、「売れる営業」は常にマーケットの動向を見ており、それに合わせて自分の行動を瞬時に変えることができます。その行動とは売り方であり、取り扱い製品の改善でもあります。製品開発部門に対して、マーケットの反応を的確に伝え、新製品企画の提案までできる営業は、まさに「できる営業」の鏡と言えるでしょう。与えられた商品を「売るだけの営業」は、歳を取ると息切れして短命の場合がありますが、「考える営業」は長期的に重宝されます。また営業管理職としての条件となってきます。

さてこの「売れる営業」すなわち「できる営業」の心得、まだまだ続きます。

第四回:強い営業の心得 ~其の二~

続いても「売れる営業」の心得です。当たり前の内容ですが、正直なところなかなかできていないものです。再認識してチャレンジしてみるのも良いでしょう。

「売れる営業」の心得 ~其の二~

  1. クレームをチャンスにする
  2. 自社製品を愛し、感動を伝える
  3. 強い思いを持っている
  4. お客様に育ててもらうという意識を持つ
  5. 値引きをしない

クレームをチャンスにする

「売れる営業」はクレームを絶好のチャンスと喜びます。客と対峙して本音の話ができるこの機会を避けることはありえません。クレームに対して言い訳をせず、まずは心からお詫びし、相手の顔色を見ながら徐々にクレームに至った経緯を説明します。この時に、瞬時にアドリブで対応できる営業こそ「売れる営業」であり、「できる営業」の鏡なのです。

クレームは無いに越したことはありませんが、こういう修羅場を経験することで成長していくわけです。クレーマーは対象外ですが、「クレームを発信する客は有難い」と思うようにしましょう。クレーム対応も感性の引き出しを増やすチャンスです。「売れる営業」は自ら進んで対応します。

自社製品を愛し、感動を伝える

「売れる営業」は自分が扱っている製品やサービスをこよなく愛しています。それが例え他社と比較して劣っている部分があったとしても、その強い愛着心により、熱意がお客に伝わるのです。もし、少しでも心の底に疑念があれば、お客はそれを察してしまいます。

また自社製品やサービスをユーザーの立場で使用した経験を持つことは当然のことです。使ったこともない製品をお客に薦めても、誠意は伝わりません。まず、自分が使ってみて感動することが重要であり、そうすることにより、自然にその感動がお客に伝わります。上っ面だけのマニュアル化された機能性説明では、お客の心は動きません。

先日、大手家電販売店で新製品のミラーレスカメラの説明を受けようと、そこにいたメーカーから派遣された中年の販売員に、他社と比較した特長を聞きましたが、「画質が違います!」の一点張りでそれ以上の言葉が出てきませんでした。自社の技術に自信があるのでしょうが、自分自身でその新製品を使ったことがないのでしょう。感動など一切伝わってきませんでした。カタログスペックで他社との比較をした説明だけではお客の心は動きません。

強い思いを持つ

「売れる営業」は自分で決めた目標を必ずやり遂げるという強い思いを持っています。私自身の話で恐縮ですが、10年以上前にマイクロソフトの市場開発担当部長と面談する機会がありました。その際、「自分は多額の予算を持っていて、市場開発関連の仕事をパートナー企業へ発注している」と聞きました。その時、私は「必ずこの部長とビジネスを開始する!」と心の中で決意して周りに宣言しました。

それ以降あらゆる手段を使って何度もこの部長とコンタクトし、半年後には直接口座を開いて取引を開始することができました。もしあの時、世界のマイクロソフトを相手に怖気づいていたら今の我社はありません。まず強い意思を持ち、周りに宣言して行動することが重要なのです。

値引きをしない

他社の価格に合わせて受注する営業はいかがでしょうか?製品の違いを十分に説明できなかったために、お客様に価値を認めてもらうことができず、価格を合わせてしまう営業が我社にもいます。「売れる営業」は当然説明が上手なため、このような状態にならないように、事前に察知して十分な説明で納得させていきます。

しかし、「売れる営業」でもたまに値引きを受けることがあります。それは、お客様の予算の都合でどうしても協力して欲しと頼まれた場合です。これは、貸を作ることにより、お客様との関係を深め、次の商談で回収できる可能性があると判断するからです。臨機応変に先読みして対応できる営業こそ、「売れる営業」であり、「できる営業」なのです。

いかがでしたでしょうか?次回は“「売れる営業」の心得”の最終回です。少し内容が多めになりそうですが、ご期待下さい。

第五回:強い営業の心得 ~其の三~

「売れる営業」の心得の最終項にしようと思いましたが、少しボリュームが増えたのでもう一回増やすことにしました。すでに「売れる営業」の人も、これから「売れる営業」を目指している人も意識してみて下さい。売れる営業組織を作ろうとされている管理者や経営者の方にも参考になると思いますし、実践すれば必ず効果が出てきます。

「売れる営業」の心得 ~其の三~


  1. バランス感覚は虫の目、鳥の目、魚の目から
  2. 半期ごとに目標設定をする
  3. スピードが勝負

バランス感覚は虫の目、鳥の目、魚の目から

これは「売れる営業」だけではなく「できるビジネスマン」共通的にいえることですですが、「虫の目、鳥の目、魚の目」を持って行動することが重要です。「売れる営業」としての虫の目とは物事をじっくり見て分析し、細かく対応することであり、大ざっぱな営業にはとてもできません。

鳥の目とは、空高い位置から全体を俯瞰することであり、この商談が将来どのように発展していくかを見る目を持っています。自分が取り組んでいる商談について、上司や同僚の意見を聞いてみるのもこの俯瞰に当たると思います。

魚の目とは、魚眼で回りを広く見渡すことができるという人もいますが、ここでは流れを見るということになります。この流れを見るためには、業界を取り巻く環境の変化に敏感でなくてはなりません。日頃から情報収集に努める必要があります。人脈作りの重要性は後の回で述べる予定ですが、この情報収集に人脈は大いに役立ちます。「売れる営業」は、お客様から内緒で極秘の情報をもらうことができます。これにより、競合先がまだ見えていない流れを先取りして動くことができ、受注につながるのです。

これら三つの目が備わって初めて「売れる営業」、「できるビジネスマン」としてお客様からも社内からも評価されるのです。これはすなわち、バランス感覚が備わっていることを意味します。

バランス感覚とは、物事をいろんな目で観察して、相手の行動に合わせてバランスの良い対応をするということだと言えるでしょう。お客様が望んでいることを事前に察知し、喜ぶ提案ができる営業もバランスが良い営業と言えるかもしれません。そういう意味では特に鳥の目を人一倍持っている営業が「バランスの良い営業」といえるかもしれません。

半期ごとに目標設定をする

営業として目標設定は当たり前ですが、「売れる営業」の設定方法は少し違います。GOSTRSという方法で目標達成のための詳細設定を行うのです。ここでは個々の「売れる営業」だけではなく組織としても取り入れる必要があります。

GOSTRSとはそれぞれの頭文字であり、以下の内容となります。

Goal(目標)

営業の場合は一般的に売上、粗利、営業利益の設定目標値になります。

Objective(目的)

目標達成のために目的を明確にします。

Strategy(戦略)

どうやって目標を達成するかその戦略を明確にします。

Tactics(戦術)

目標達成のための具体的な戦術を明確にします。

Resource(資源)

目標達成のために必要な経費や人材について明確にします。

Schedule(計画)

目標達成のための具体的なスケジュールを立てます。

以上の6項目を各自まとめて期初に発表し、毎月進捗を管理します。当然のことながら、営業部門全体でのGOSTRSも同時に設定します。まず、会社方針に従って全体の予算を決定し、次に部門予算を設定、最後個々の営業に数字を配分する方法が一般的ですが、逆に個々の目標数字を積み上げて部門予算とするケースもあるでしょう。

どちらにしろ、ただ数値目標を立てるだけでなく、GOSTRSの各項目に従って具体化します。これに加えて進捗状況を週単位、月単位で確認することにより、設定した目標を着実に達成することができるのです。

ただ数値の目標設定をするだけでは、どうやって達成するかが明確でなく、進捗の管理もできませんし、途中で見直しもできません。この米国で生まれて大手外資系ソフト会社が採用した管理手法は、姿を変えて日本の中小企業の中で「売れる営業」に重宝されています。

スピードが勝負

人間として誰でも平等なものが一つだけあります。それは時間です。社長も新入社員も、お金持ちも貧乏人も、皆一日は24時間です。なのに何故でしょう?ある人は忙しいのを理由にレスポンスが悪く、ある人はすぐに対応します。この差は時間ではなく「気づき」と「気配り」なのです。

私が尊敬する営業の師匠である先輩とよく話題になるのが、この「レスポンス」です。この方は私より10年先輩ですが、現在も役員という立場でありながら、自ら客先に出向き顧客の新規開拓をされており、朝から晩まで超多忙の毎日を送られています。

これほどの立場の方ですが、メールを送ると遅くとも翌日の早朝までには必ず返信があります。何かをお願いする内容でなくても、例えばお礼のメールを送っても、必ず返信をいただきます。長文ではありませんが非常に丁寧な文面でいただくのでいつも恐縮してしまいます。このごろは、iPad miniを持ち歩かれており、途中の空き時間でメールをチェックされおり、急用であればすぐに返信されます。

あるとき、なぜこのように素早く対応されるのか聞いたことがあります。先輩は大学卒業と同時に外資系の商社へ就職され、フルコミッション営業でトップセールスを継続されたのち、大手家電メーカーへヘッドハンティングされました。その後、関連の販売会社の役員や社長を経験されたのちに、業界が全く違う現在の会社で、営業担当重役として活躍されています。このように長年に亘って現場で苦労されている「超・売れる営業」だからこその秘訣が、この「スピード」なのです。

先輩曰く、相手がコンタクトしてくるということは、必ず返事を待っているということなので、できるだけ早く返信することにより、好印象を与えると共に、競合先と差別化する秘訣であると言われています。「当たり前のことを、当たり前以上に実行し続けることが勝利につながる」というのが先輩のモットーです。「即レス」は難しいことではありません。心掛けしだいですぐにできることです。

客先や上司から「この前頼んだ例の件、どうなった?」と聞かれる営業は、とても「売れる営業」にはなれません。いつも先回りして回答するのが理想ですが、課題が時間がかかったり難しい場合は、頻繁に途中経過を報告するだけで、好印象を与えることができます。自分が逆に依頼する立場になって考えればすぐにわかることです。

最近の営業マンはIT武装が進み、スマホやタブレット端末やノートPCを持ち歩き、どこでもメールをチェックすることができる時代になりました。だからこそちょっとレスポンスが悪いと「メールを読んでいるはずなのに、返事がないのは自分が軽んじられているのでは?」と思われてしまいます。

忙しい時にはその旨を伝えて待ってもらうよう一言メールするだけで印象は一変します。これができるのが「気づき」と「気配り」を持ち合わせている「売れる営業」なのです。

いかがでしたでしょうか?少し長めになってしまいましたが、心掛けしだいですぐにできるのがこの「スピード対応」です。今日から実践してみてはいかがでしょうか?

第六回:強い営業の心得 ~其の四~

今回が“「強い営業」の心得”の最後です。思いつくままに書いてみましたが、今回の心得を含めて16項目と少し多くなってしまいました。様々な営業スタイルがある中で、これらの心得がすべてとは言えません。このコラムに関心を持って読まれている読者の方は、既に自分なりの心得を持っていると思いますし、類似している項目も多いと思いますので、参考にしてもらえばと思います。これを機会に自分流の心得を書き出してみるのもお勧めです。

「強い営業」の心得 ~其の四~

[営業]という役を演じる
営業はイノベーターという意識を持つ
今日より明日は成長するという意識を持つ

「営業」という役を演じる

営業の感性とは引き出しの多さと書きました。それに加えて「強い営業」=「売れる営業」になるには演技力が必要となってきます。あらゆるシーンで「強い営業」、「弱い営業」、「お人好しの営業」、「賢い営業」など、あらゆる役を演じる必要があります。これは器用な営業にしかできないかもしれませんが、日ごろから割り切って心掛けることにより、徐々に演じることができるようになるものです。

この理論に気付いていない営業は大変です。売れる営業になるために自分の性格も変えなければいけないのかと嘆き、だんだんと自分は営業は向いていないと挫折していく営業がいます。営業という役を演じているのだと割り切ってしまえば気分が楽になります。プライベートの自分の性格まで変える必要はないのです。

その場の雰囲気やお客様の態度に合わせてとっさの対応ができるようになれば、一人前の役者ですが、そのためには演技指導が必要です。社内では笑顔など見せない上司が、客先へ同行すると満面の笑顔で対応している姿を見たことはありませんか?この上司は二重人格ではないのです。お客様に合わせて演じているのです。

たまに客先で満面の笑みで対応しているにもかかわらず、「今日はノリが悪いね。何か心配事でもあるの?」と言われることがあります。これは心の中を見抜かれているということであり、役者としてはまだ未完成ということでしょう。「無意識の意識」を含めて自分の気持ちを整理し、役者になりきって客先に向かわなければいけません。

営業はイノベーターであるという意識を持つ

これを心得にしている人は、究極の「売れる営業」すなわち「できる営業」の鏡といえるでしょう。イノベーションという言葉は、エンジニアやコンサルタントのためだけにあるわけではありません。営業もイノベーションに日々取り組む必要があります。

まず、第一のイノベーションは営業スタイルについて常に改善を意識するということです。どのような業種の営業も、日々移り変わる技術の進歩や経済状況の変化に左右されています。その中で旧態然とした営業スタイルで対応していると、とても競合にも勝てず「売れる営業」にはなれません。

たとえば、スマートフォンが当たり前になった時代に、外からメールが読めず、報告書を書くために毎日オフィスへ戻らなければいけないような営業スタイルでは絶対に勝てません。「売れる営業」はこのような新情報に敏感であり、最先端の技術を駆使して自分たちの営業スタイルを変えるよう、上司に進言します。

第二のイノベーションは自社製品やサービスについて営業の立場から改善することです。会社によっては営業は売るだけでよいということでしょうが、マーケットと接しているのは営業ですので、ここからユーザの声として改善の意見が出ることにより、新製品が生まれることがあります。

「売れる営業」は常にイノベーターという意識を持っているため、アイデアに溢れています。思い付きでアイデアが出るケースをよく目にしますが、これは日ごろからイノベーションを意識して情報を集めているからなのです。

今日より明日は成長するという意識を持つ

「売れる営業」すなわち「できる社員」は、日々成長しています。学ぶという意識を持つことにより、昨日より今日、今日より明日と成長を続けていきます。客先とコンタクトするのが仕事である営業は、常に多くの情報に接し、これを吸収する機会に恵まれているのです。学んで成長することにより、客先への提案もより質の高い内容になってくると同時に、「売れる営業」になるための重要ファクターである“感性”も磨かれてくるのです。

自分自身が成長するために吸収したいという意識を持っている営業は、接客態度ですぐにわかります。まず、訪問前に客先の会社概要や製品の内容についてネットで調査し、面談に臨みます。そして会話の中で様々な質問をぶつけてきます。これは、客先に関心がありますよという意思表示であり、自分自身が学びたいという意識の表れなのです。

私はすでにシニアの年齢ですので、残念ながら「昨日までできていたことが今日できなくなる」ということを実感することがあります。しかし、未だに客先や若い社員から学ぶことも多く、まだまだ日々成長したいという意識を持っています。これにより、この歳になっても、「昨日までできなかったことが今日はできた!」という喜びを感じることもあるのです。

四回にわたって掲載した「売れる営業」=「強い営業」の心得、いかがでしたでしょうか?まだまだあると思いますが、とりあえずここで閉めます。私が考える「売れる営業」の心得については、賛否あると思いますので、営業仲間で話し合ってみてはいかがでしょうか?自分流の心得が発見できるはずです。そしていつの日か私のようにコラムで公開する日が来るかもしれません。

第七回:「強い営業」における〝人脈”の重要性

本コラムのテーマは「強い営業の心得」ですが、これまで「強い営業」=「売れる営業」の心得について私なりの持論を詳細に書いてきました。まずは、売れる営業組織を作り上げるためには、これまでの心得を教え込むことが必要ですが、管理者自ら実践している姿を日常的に部下に見せる必要があります。手取り足取りで教え込めば「売れる営業」が育つというものではないということを皆さんよく判っていると思います。

そういった意味で今回のテーマである人脈作りについては、管理者自ら実践し「売れる営業」としていかに重要であるかを伝える必要があります。「売れる営業」を育てるためには、接客マナーを教え込み、商品知識を身に付け、やる気とガッツでなんとかなると思われがちですが、これまでに述べてきた感性を鍛えるという意味で、この人脈作りは将来的に重要な要素となるのです。

人脈作りはまず出会いから始まります。この出会いを大切にする気持ちを持つことすら意識していない若手営業を見かけます。出会いからいろんな人生やビジネスが展開していきます。このコラムを執筆するきっかけも、ある出会いからです。その方の薦めが無ければ「売れる営業」への思いは永遠に表面化されなかったでしょう。

この回以降では、なぜ出会いが重要なのか、そして人脈の作り方と活用の方法について書いてみたいと思います。何気なくパーティーや交流会で多くの方と会って、たまたまビジネスがうまくいったということもありますが、そこにも実は成功の方程式があるのです。

人脈不要論

第一線の若手営業マンは、時間がないこともあり、人脈を増やす活動は後回しになりがちです。しかし、営業マンとしての長い人生において、この人脈は大いに役立ってきます。私も若いころ、当時の社長からとにかく人脈を増やせと言われましたが、正直そのような時間もないし、直接売上に反映されるわけでもなく、その効果が理解できませんでした。

当時は設計図を書くCADシステムの販売を行っており、人脈というより販売ルートの開拓に注力していました。ですから、販売してもらえる可能性のある会社としか付き合う余裕もなく、そこでは自分自身を売り込むことなど考えも及ばず、製品の売り込みを最優先し、製品説明会や勉強会を頻繁に行っていました。

これにより、当時は確かに売れましたが、時代の移り変わりと共に製品も変わり、マーケットも変わってくると、当時販売してくれていた会社も縁遠くなってしまいました。これぞ正に販売ルートであり、人脈とは異質のものだったのです。

当社の母体であるナカシマプロペラは、造船所の購買窓口を相手に製品の売り込みを行い、価格交渉の上、採用してもらうというビジネススタイルです。担当営業は造船所へ足しげく通い、設計部門なども訪問して情報収集を行い、競合先に先手を打って自社の製品を採用してもらうよう根回しを行います。ここでは人脈を意識するというより、造船所内の人間関係を把握してうまく泳ぐことが重要だったように思います。

しかし、造船所で船を建造する船会社との関係については、この人脈がかなり重要となってきます。プロペラは船を動かすための一部品に過ぎませんが、車で言うとタイヤや車輪の役割をするわけです。船会社にとってはどんなプロペラが装着されてもいいのではなく、燃費や加工精度を考えて造船所へ発注の際にメーカー指定をすることができます。

この建造情報の入手とメーカー指定を取り付けるため、人脈を多く持っている営業が必要となってきます。船舶の建造には荷主はもちろん商社や機器メーカー、大手鋼板メーカーなどがからんできます。これらの会社と人脈が繋がっていれば、競合他社より早く情報を入手することができ、造船所へのメーカ指定を取り付けて受注に結び付けることができるわけです。

このような環境の中で子会社として発足した当社ですので、設立29年目になりますが、異業種とはいえ設立時から人脈の重要性を叩き込まれていたわけです。若い時からこの人脈の重要性を意識しておくだけで、近い将来に必ず役に立ちます。私もこの歳になってやっと人脈作りの重要性に気付き、遅まきながら取り組んでいる最中です。ということで反省の意味を込めながらこのコラムを書いているわけです。営業担当者も管理職の方も参考にしてもらえばと思います。

出会いを大切にする

出会いとは自分から進んで会いたいと思って必然的に会う場合と、たまたまパーティーで出会ったりする偶然のケースがあります。しかし、もう一つ出会いがあります。それは紹介を受けて会うケースです。少し正直な話をすると、これから会う相手の方が自分とは不釣り合いであまりにも偉い方だったりすると、できれば会いたくないと思ったりすることがあります。

先日も大変有難い出会いがありました。私の尊敬する先輩から地方都市の首長を紹介いただくことになりました。その際に、「なぜ私なのか?」「私になにができるのか?」などいろいろと心配になり、できることなら辞退しようと思っていました。ところがどうしてもということでその日を迎え、先輩と一緒に面談させていただきましたが、この市長は実業家の出身の方で、積極性と意欲に満ち溢れている素晴らしい人格者でした。

紹介してくれた先輩は、市長から事前にヒアリングを行い、私と共通の話題があることを認識した上でこの面談をセットしてくれたことが後からわかりました。今では市長と頻繁にお会いして教育現場におけるICT活用について情報交換をさせていただいています。

「売れる営業」は、紹介を受けた方とは時間の許す限り積極的に会います。その時ビジネスにならなくても、紹介してくれた方への感謝の意を持ってきちっと対応します。これによりまた次の紹介がもらえるかもしれません。またその時ビジネスにならなかった出会いも、長い目で見ると次のチャンスがやってくるかもしれません。嫌々会っていたらどうでしょう?人脈紹介の連鎖はそこで終わってしまいます。

「紹介の紹介の紹介」で成約!という経験はありませんか?人脈とは連鎖なのです。必ず継続させなければいけません。どこかで不義理をしたり失言して関係が断絶すると、人脈がそこで途絶えるだけでなく、下手をすると悪いうわさが流れてしまいます。人脈でトラブルがあると即座に修復する必要があります。また、「君子危うきに近寄らず」の格言通り、紹介されたら誰でも付き合うのではなく、危険な臭いのする人にはある程度の礼を尽くして、それ以上深入りしないことも重要です。

少し長くなってしましましたが、この出会いに関連した人脈作りの極意について、次項から詳しく述べてみたいと思います。

「売り込まない」
「与えることからスタート」
「求めない人脈作り」
「人脈連鎖の大切さ」

などです。

第八回:秘伝!人脈作りの極意

さてここでは前項の人脈の重要性を受けて、どのようにすれば人脈を作るとができるかについて述べてみたいと思います。既に実践されている内容もあるかと思いますが、これを機会に整理してみてはいかがでしょうか?実体験を部下に伝えることこそ最強の教育です。

売り込まない

初めての出会いで自社商品を売り込まない余裕が必要です。あからさまに販売意欲を出してしまうと、相手は引いてしまいます。まずは出会ったことに感謝し、お互いを理解し合うことにより、ビジネスは自然に発生してくるものです。あくまでも会社や商品と付き合うのではなく、自分という人間と付き合ってもらうという意識が大切です。初対面の相手はあなたをどんな人か見ています。何事も初めが大切ですので、細心の注意を払いましょう。日々売上を追っている一線の営業は、そんな余裕はありません。だからこそ、たくさんの良質の種まきをしていれば、手入れをしなくてもその内に芽が出るということなのです。

しかし、これとは逆に商談獲得を目的とした異業種交流会などへ参加する場合は、事前に参加者リストを入手して、興味がある相手を探し出し、当日は積極的に売り込みをかけましょう。その場の状況に応じて臨機応変に対応できるのも「売れる営業」すなわち「できる営業」の必須条件です。

与えることからスタート

まずは相手が望んでいるものを与えることが重要です。相手の話をよく聞いて、何を望んでいるのか聞き出し、できる限り応えてあげることから始めてみましょう。自分に直接関係のないビジネスであっても、自らの人脈デーベースの中から該当者を検索して可能な限り紹介します。一見お節介焼きのように見えますが、相手はあなたの対応に感謝するはずです。

自分のビジネスが絡まない場合は、双方を紹介するだけで身を引き、後から紹介手数料などを求めたりしないほうがいいでしょう。まずは与えておけば、その内に報われる時が来るかもしれません。人脈とはそういうものであるという意識が重要です。

会社と付き合うのではなく人と付き合う

交流会や紹介で大手企業の方と知り合うことが良くあります。結果的に長くお付き合いしている場合は、その会社ではなく、その方の人柄を見ているのです。大手企業は短期で異動が行われる場合が多いため、会社同士の人脈を持ったとしても短命です。人としての人脈で繋がっていれば、どこの部署へ行こうが人脈の連鎖は途絶えません。

大手コンピュータメーカーの首都圏営業担当部長と縁があって親しくさせてもらっていましたが、今年の4月に四国へ転勤になってしまいました。これでお付き合いも終わりかと思われがちですが、お互いに人としてお付き合いをしていたため、この人脈は途絶えるどころか、四国での人脈の連鎖の起因となっています。また、10数年前に知り合った大手通信事業会社の方はこれまでに分社化があり、その後は子会社へ出向されましたが、未だに繋がっており、情報交換はもとより、人脈の交換も頻繁に行っています。まさに人との付き合いの成果の賜物と言えるでしょう。

人脈連鎖の大切さ

前回で人脈とは連鎖であると言いましたが、この「連鎖させること」が非常に重要なのです。たとえば、初対面の印象を悪くしたり、不義理をすると連鎖は終わってしまいます。そうなるとその人の先にある人脈が全く縁のないものになってしまうのです。直接ビジネスの可能性が無くても出会いに感謝して奉仕の精神でいれば、必ず次の人脈の紹介の可能性が開けてきます。時間がかかるかもしれませんが、まさに良質の種まきなのです。

私は、10年前にビジネスを通じて紹介された方が大学の先輩ということがわかり、これまでご指導をいただいていますが、その方を通じて多くの方と知り合うことができました。たぶん、その先輩は私のビジネススタイルや性格を見て、私と相性の良い方を紹介いただいていると思っています。このような厳しい方のお眼鏡に叶ったのも、この人脈センスを持ち合わせたからかもしれません。

良質の人脈は交換すべき

まずは与えるということを書きましたが、人脈もまずは紹介するということが重要です。しかし、誰でも紹介すればよいというものではありません。紹介する相手に合うかどうかよく吟味してから、紹介する必要があります。そうしないと逆効果の場合があるので注意が必要です。「こんな人と付き合っているのか!」と自分自身の評価を下げてしまうことがあります。

公私ともにお世話になっている大学の先輩を、前回も登場した私が敬愛する同窓の10歳先輩の方に紹介した時のことです。お二人とも性格がはっきりされている方なので、まずは私の方でお相性が良いかどうか十分に吟味させていただいた上で、数ヶ月にゴルフコースでお引き合わせしました。その結果、私の予想通りお二人は意気投合し、今では相互のビジネスにかなりプラスとなっていると聞いています。事前の準備が功を奏し、私にとっては大変嬉しいことです。

交流会への参加と自ら交流会を主催

時間が許す限り様々な交流会に顔を出すのも人脈作りには良いでしょう。しかし、究極の方法として、自ら交流会を開催してみるのも良いかもしれません。そこに参加した人たちがお互いに知り合って盛り上がっている姿は非常に喜ばしいものがあります。定期的に開催することにより、常連の参加者が新たな人を連れてくるようになり、人脈の輪が広がります。そうなれば主催者としてもその恩恵に預かることができるわけです。これは管理職以上でないとなかなか実現できませんが、若手営業にこのような催しを見せることにより、人脈の重要性を知らしめることができるのです。

共通の趣味を通じた人脈

人脈はいろんな形で出来上がってきますが、私の経験では一緒に戦ったり、学んだり、遊んだりした人脈はより深さが増して、何かにつけて頼れる人脈となっています。例えば、海外視察旅行で同行したメンバーとは、数日間行動を共にするため、お互いの性格も良くわかり、腹を割って付き合うことができたという経験があると思います。

それから、共通の趣味と言えば一般的ですがゴルフがあります。私も後発ですが14年ほど前からゴルフを趣味としていますが、お陰様で深い人脈が増えました。ゴルフと言えばお金がかかるので社長や幹部がするものと思われがちですが、今ではプレーフィーもかなり下がっているため、若い人たちの姿が目立つようになりました。プロのプレーヤーの影響もあってか、女性も増えてきています。

では、なぜこのゴルフが人脈を作る上で重要かについて詳しく説明したいと思います。

第九回:人脈作りに!まだ間に合うゴルフのススメ

これまで「売れる営業」の極意など固い話が中心でしたが、人脈の話のついでに、ここではちょっと趣向を変えて、ゴルフについて述べてみたいと思います。すでにゴルフをされている方は気付いていると思いますが、人脈を増やしたり、深く付き合う点においてゴルフは抜群の効果を発揮します。しかし、そのために犠牲にしなければならないこともありますので、これから始める人は少し覚悟が必要です。

ゴルフの上達に関する書籍は書店に溢れていますが、ビジネス面での魅力について書かれた本はあまり見かけません。「売れる営業」すなわち「できる営業」のアイテムであるゴルフについて事例を交えながらご紹介します。既にプレーしている方は再認識してみて下さい。これから始めようと思っている方には、大いに参考になると思います。

私のゴルフ歴

まずは私のゴルフ歴についてお話ししましょう。入社当時は営業としてゴルフは必須であり、配属が決まってすぐに上司からクラブを買ってこいと言われ、ミズノのハーフセットをキャディーバッグ込みで一万円で買った覚えがあります。すぐに練習場へ連れていかれてとりあえず打ってみろといわれ、思うがままに自己流で何球か打ったところ、「お前は素質がないからゴルフは向いていない!」と冗談か本気かわからない口調で言われて落ち込んだのを覚えています。

こんな状況で始めたのですから、上手くなるわけはありませんし、当然好きにもなれませんでした。数回練習してコースデビューを果たし、数えきれないくらい叩いた覚えがあります。年数回のコンペへの強制出場が嫌でたまらず、家庭の事情を理由に不参加のこともよくありました。そうこうしているうちに、後から入った後輩の方が腕を上げてきて全く歯が立たず、このあたりからゴルフとは縁が遠くなってしまいました。

それから東京へ転勤となり、当時はプレーフィーも高価でとても平社員が月に一回でもプレーできるような状態ではなかったため、これ幸いと中断してしましました。もう一つの理由として、子供が小さく土日は家庭サービスと決めていたため、一日潰れてしまうゴルフへ行くことには罪悪感があり、年に2、3回程度しかプレーしませんでした。それから10年以上たって子供たちも成長し、自分の時間を持てるようになった43歳頃からゴルフを再開しました。

それから15年以上経過し、腕前は上がりませんが、ゴルフに出会ったお陰で人脈を増やすことができました。二年前からiPhoneのアプリ(Best Score)でゴルフのスコア管理をしていますが、同伴プレーヤーの名前も入力しており、集計してみると二年間で130人とプレーしたことがわかりました。この人たちとは一日中一緒でしたので、何かあれば簡単にアポイントを取ることができます。これぞまさにゴルフ人脈で私の財産なのです。

自分と戦うスポーツ

これまで何人かにゴルフの素晴らしさを説いて始めた人がいますが、その中でも突出してゴルフにはまった人がいます。ここでは、Yさんとしましょう。今から約9年前、Yさんが49歳の時に私のアドバイスでゴルフを始めました。それまでYさんの趣味と言えば河川敷でラジコンのヘリコプターを飛ばすくらいで、スポーツとは全く無縁でした。しかし、真面目に練習に通い、一日600球打って、次の日の朝、指が動かなくなることもあったそうです。私のゴルフ友達も紹介して一緒にラウンドし、今では、私より頻繁に付き合っている人もいます。腕前もどんどん上達し、残念ながらたまに負けたりします。

Yさんはゴルフに出会わなくても、それはそれで楽しい人生を送っていたかもしれません。しかし、私の強引なアドバイスでゴルフを始めたことにより、人脈が飛躍的に増えるとともに、打ち込める趣味と出会うことができたわけです。

余談になりますが、一年ほど前にコンペでYさんと一緒にプレーした時のことです。二人ともかなり調子が良く、前半で2オーバーと3オーバーのハイレベルな戦いを展開していました。12ホール目くらいで逆転されYさんの方が2打ほどリードしていました。

その時、Yさんは「今日はとにかく師匠の橋本さんに勝ちたい!」と言いました。それに対して私は「ゴルフとは誰に勝つということではなく、自分との戦いである。私は自分が満足できるプレーができるよう集中して取り組んでいる。」と呟きました。これを聞いたYさんは、何か思うところがあったのでしょう。このホールから崩れ始め、結果的に5打差で私が逆転勝利を収めることができました。それ以降、飲み会ではいつもこの話で盛り上がります。

この話はゴルフをしない方には理解できないかもしれませんが、49歳からでも始めることができ、様々な体験ができて人脈が広がるということです。先日も、65歳から本格的にレッスンを始めてゴルフを楽しまれている素敵な女性社長にお会いしました。コースでは少女にように若々しく振る舞われ、ゴルフ人脈をどんどん増やされています。

ゴルフの恩恵

私が敬愛する先輩方の話やゴルフ友達の話をまとめてみると、ゴルフは以下のような恩恵を与えてくれます。プレーフィーは確かに安くはありませんが、それ以上の価値があることに気付いた人は、飲みに行く回数を減らしてでもティグラウンドに立つのです。

・新たな出会いがあるコンペに参加すると通常のビジネスでは会えない人と親しくなることがあります。4人一組でプレーする競技なので、新しい出会いが頻繁にあります。

・社内のトップとも親密になれる社内のコンペなどでは、上司や役員、社長などと一緒にプレーする機会があります。緊張するので敬遠するケースもありますが、逆にこういう機会を利用して親密になることができます。一日中一緒ですので、いろんな話も聞けて役立つはずです。

・人間関係を楽にしてくれる客先で初めて会う人がゴルフ好きだという情報を事前に入手した場合は、会話が楽になります。難しい打ち合わせをしているときになかなかゴルフの話を切り出すことはできませんが、最初の挨拶か、終盤で少し触れるだけで相手の態度が和らぎます。私はこれまで何度もゴルフのお陰でビジネスを成功に導くことができました。破談になりかけたビジネスが再開したり、普通は話もできないような有名人とゴルフを通じて友達になったりと、数限りない出会いがあります。

・人間の本質が見えるゴルフは一日がかりのスポーツです。プレーが5時間として昼食や終了後の懇親会を入れると7時間以上一緒にいるわけですから、否が応でもその人の本質が見えてきます。もちろん、こちらの本質も見抜かれるので逆に注意が必要です。特に林の中へ打ち込んだり、OBを連発するなどトラブルが発生すると、対処に際してその人の本質が出てしまいます。このようなときに冷静沈着に対応できる人は、ビジネス上でも同様の対応ができます。ゴルフとはそういった意味で自分の性格の本質が出てしまう、誠に恐ろしいスポーツなのです。

・スコアに関係なく初心者も上級者も一緒にプレーできるゴルフはスコアの点数を争う競技ですが、通常のプレーではレベルの違いがあるためスコアを争うことはありません。とにかく自分との戦いであり、納得するプレーができるかどうかにかかっているのです。ゴルフの腕前が拮抗したライバルとプレーするときは、当然スコアを争っても面白いでしょう。これもゴルフの醍醐味であり、各ホールの勝敗で一喜一憂するのも楽しいものです。真のプレーヤーは相手が初心者であろうと喜んで一緒にプレーしてくれます。ゴルフの愛好家が増えるとことを喜んでいるのです。プロとアマチュアのプレーヤーが一緒の組でラウンドすることができるのもゴルフの特長です。

これから始める方へのアドバイス

ゴルフの面白さは理解できたけど、これから始めるにはどうすればいいかわからないという人は、以下を参考にして下さい。

・経験者にアドバイスをもらって中古クラブを買う
 難しいクラブを買って失敗するケースが多い
 練習場の貸クラブで試打してから購入するのもよい

・初心者向けスクールに入る
 基礎ができて上達が絶対速い
 仲間に教えてもらったり、我流で練習しても絶対に上手にならない
 スクールの生徒間で友達の輪が広がる

・ゴルフを始めたことを社内外に告知して仲間を見つける
 一般的に隠れゴルファーが多く、意外な人から誘いがあったりする
 上級者ほど初心者を歓迎してくれる

・経験者とショートコースでデビューし、マナーやルールを教えてもらう
 初心者同士でラウンドしても上達しない
 ゴルフは紳士のスポーツなので上級者にみっちりとマナーを教えてもらうこと
 コースごとに設定されたドレスコードを遵守すること

・本格的なコースへのデビューは必ず中級者以上と
 前後の組に迷惑をかけないよう、細心の注意を払いながらラウンドすべし
 キャディが付く場合は、チップ(1000円程度)を渡すと対応が違う

・グリーン上以外はクラブを数本持って走る!
 スロープレーは禁物。グリーン上以外はとにかく走る
 特にグリーン上のパターでのスロープレーは禁物
 ゆっくり芝目を読んでいいのはプロだけ

お客様とラウンドする際の気配り

客先や社内でゴルフを始めたことを告知すると、必ずと言っていいほどすぐに誘いがきます。特に“隠れゴルファー”が沢山いるのにも驚かされます。上司や先輩と一緒にプレーするのであれば、接客マナーについても指導してもらえると思いますが、そうでない場合は以下の項目に注意してプレーしましょう。

・ゴルフはレジャーではなくスポーツであるという意識を持つ
・ナイスショット!の掛け声を忘れないこと
・ナイスショット!と言われたら必ず礼を言う
・セルフプレーの場合は、率先してカートを運転する
・グリーン上ではピンを抜いて静かにグリーン外へ置き、プレー終了後にピンを戻す
・お客様の打った球の行方を見届け、ラフに入った場合は率先して探しに行く
・お客様がミスショットしても笑ったり下手に慰めたりしない
・自分がミスショットした時には毒づいたり言い訳を言わず、笑って済ませる
・自分のプレーに集中しすぎないようにする
・お客様の性格が読めるが、こちらの性格も読まれていることを忘れないこと
・外の景色が見える位置の席をお客様に用意する

いかがでしたでしょうか?これでお客様との接待ゴルフも完璧なものになるでしょう。人脈、特に深い人脈を作るにはゴルフは最強の手段です。これを機会に未経験の方はチャレンジされてみてはいかがでしょうか?

「売れる営業組織」の育て方をテーマに書いてきましたが、いかがでしたでしょうか?“「売れる営業」の心得”をまとめてみて少し長かったのではと反省していますが、育てる側、育てられる側双方にとってもこれが「営業道」の基本と考えています。人脈の重要性とその作り方についてもまとめましたが、営業マンにとってこの点に早く気付いた人ほどラッキーな営業人生を送ることができます。

最終回に不釣り合いかもしれませんが、皆様からいただいた質問の中から「売れない営業」と「新米中年営業」を伸ばす方法について具体的に述べてみたいと思います。読者の皆様の今後の参考になれば幸いです。

「売れない営業」を伸ばすには

このコラムの初回で売れる営業、普通の営業、売れない営業の比率が2:6:2と書きました。これについて多くの反響をいただき、概ね同感の声が多かったのですが、「売れない営業」をどうやって嵩上げするかで悩まれている方が多かったようです。これは大変難しい課題であり、私もチャレンジ中です。しかし、このモバイル活用による情報共有ができる時代になって、改善が進み始めたように思います。

私が営業を始めた37年前は、携帯電話もインターネットもありませんでしたので、情報収集も情報発信も至難の業でした。昔話をしても意味はありませんが、現在は本人がその気になれば、いくらでも情報が入る時代になったということです。また、IT活用により、時間をコントローすることもできるので、自己学習したり、感性を磨く時間を創り出すことができるようになっているのです。

ということは、やる気が重要であるということです。2:6:2の「売れない営業」は一言でいうとやる気が低いとだるために、上司は様々な手段を使って指導する必要があるわけです。まずは、毎日どのような営業活動をしているかをチェックする必要があります。日報や週報を手書きやWordあるいはExcelで提出させている会社は多いと思いますので、最低限この内容を上司はチェックします。売れない原因が見えてくるとそこを指摘して改善させれば良いわけですが、そう簡単には行きません。習慣化して改善させるためには、営業マン自らがその気になるよう、根気強く指導していく必要があります。以下に改善方法を書き出してみましたので参考にして下さい。

①目標管理の徹底と定期的なチェック
②良い点を見つけて伸ばしてやる
③行動報告をチェックして細かく指示する
④売れる営業との違いを明確にして、マネすることも重要
⑤売れる営業のフレームワークに従って営業活動を行う
⑥どうしても営業に向いていない場合は、別の部署を探して提示する

新入社員が「売れる営業」になるまで

これだけは誰にも負けないものを持つ、それが強みとなり自信につながる

新入社員を売れる営業マンに育てるのは並大抵のことではありません。ビジネスマンとしての服装や身だしなみ、マナーなどは研修に時間をかけることでなんとか習慣化することはできますが、営業マンとしてのモチベーションをいかに高く持ち続けることができるかが最も大切となります。

潜在能力が高い新入社員であればあるほど、その分期待も大きく、あれもこれもとつい欲張りすぎてしまいますが、ここはぐっと我慢してその新入社員の得意(=強み)とするところを早期に見出して、そこを伸ばしてやることが売れる営業マンに育てる近道ではないかと思います。

強みとは他の誰にも負けないというものを指します。
たとえば、文章を書くのが得意な社員であれば、その強みを生かして、商品の説明を簡潔にまとめた資料を作成させるとか、一方、プレゼン(説明)するのが得意な社員であれば、限られた時間で商品の説明をきちんと行うことができるなど。新入社員のうちは、どのようなことでも良いから、これだけは他の誰にも負けないというものを一つ持つことで、自ずと自信がつきますし、強みを一つ二つと増やしていくことでモチベーションを高く維持することができます。そうした結果、商談もまとまり営業成績も上がっていくものと思います。

中年の新米営業をどう育てるか?

第2回のコラムで、「できる営業は30歳までに決まる」と書きましたが、中年で営業に配属になった方から「これからどうすればいいのか?」とのご意見をいただきました。

先日、得意先の方が転勤の挨拶に来られ、これまで管理部の事務職の経験しかなかったのですが、営業に転属となり新規開拓に取り組むことになったとのことでした。その方は50歳を越えている上に、営業経験は全くないため、ただがむしゃらに頑張るだけと覚悟を決めた口調で言われました。

よく話を聞いてみると、この方は転勤先で多くの人脈を持っており、ビジネスの広がりを期待しての転勤とわかりました。しかし、この場合は注意が必要です。たぶん、赴任の挨拶で人脈がある会社を訪問することになりますが、焦りのあまり自社製品やサービスの売り込みに走ってしまいがちです。会社概要や製品を紹介するのは当然必要ですが、「この歳で営業になったので何としても売らないと大変なんです!宜しくお願いします!」と悲壮感を前面に出して売り込むと相手が引いてしまい逆効果になってしまいます。

中年の営業には、表面的でもいいので気持ちの余裕が必要です。これまでの自分の経験や将来の計画を語ることにより、自分という熟成された商品をアピールすることが重要です。そうすることにより、これまでに述べてきた「人脈の連鎖」が起こり、紹介の紹介により思いもかけないところからビジネスが発生したりします。

中年の営業を育てるという観点で考えると、以下のポイントを指示してください。

・昔の経歴を自慢しない
・人脈をフルに活用する
・無理して売り込まない
・これまでの経歴とスキルをまとめて、自分ができることを整理してみる
・毎日の活動内容を管理して点検する

中年で営業へ転身してトップ営業になるのは難しいかもしれませんが、「売れる営業」になれる可能性は十分あります。以上の点に留意して諦めずに頑張ってください。

女性の営業の方へのメッセージ

女性で営業のトツプに立つ人の特徴としては、流暢な喋りや話術に秀でているということではありません。そもそも「営業=喋り」というのが間違っているのです。
いわゆる「女子会」において、女性は何時間でもお喋りしていますよね。男性から見ると、よくもあんなに喋ることがあるよね~。と思うのですが、女性のお喋りが何時間にもなるのは、「話し手」と「聞き手」という役割が自然と成立しているからなのだと思います。誰もが一方的に話すだけの女子会だったら、その女子会は30分もしないうちに散会になっているでしょう。相手が話しているときはきちんと聞き、自分が話すときは相手が聞いてくれる。話し手と聞き手がうまく対峙しているからこそ何時間でも女子会は続けられるのでしょう。

トップセールスに立つ女性営業は、女性の特質を活かし、話し役と聞き役をうまく演じているのだと思います。相手からみたら、自社の課題や希望を聞いてくれて、それに対する解を提案してくれる。自分が聞きたいことを話してくれるのですから、相手からみたら「売り込み」とは感じないのでしょう。自分の話をよく聞いてくれて、解決案を提示してくれる女性営業にはまた会いたいと思うはずです。
女子会で自然と鍛えられた「聞く力」をもつ女性のほうが、もしかして男性よりも営業には向いているのかもしれません。

まとめ:心の豊かさがある「愛される営業」

ネット通販花盛りのいま、大半の人が、1円でも安いお店のほうが売れるに決まっていると思いがちですが、実は価格だけではありません。商品を通じて人(営業マン)を見ているのです。
例えば、欲しい商品が同じ価格で売られているとしたら、何を基準にそのお店を選ぶのでしょうか。
多くは、カスタマーレビューという顧客評価を基準に店選びをしているのです。商品の問い合わせ、受注から発送までの期間、品質などを総合的に評価したものです。ネット通販は、運営する人の人間性が一番よく表れるだけでなく、対面式の営業よりも人間性が重要視される販売形態と言えます。
同じ商品を複数店で扱っている場合でも、最安値の店が繁盛するとは限らず、少々高くても顧客評価の良い店のほうが売れることは稀ではありません。

対面営業、非対面営業、営業行為にはすべて人が携わっていますので、人柄、人間性が営業成績の良し悪しの大半を占めていることは言うまでもありません。
営業たるもの「愛される営業」を目指すことが一番重要なのです。

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