電気制御盤の基礎知識！仕組みや役立つ資格について

現代社会において、電気は最も主要なエネルギーです。また、電気を供給するための設備などを整える電気工事は現代社会のインフラを維持するための大切な工事であり、電気工事で活躍する電気工事士は社会の根幹を支える役割を担っています。

そんな電気工事士が取り扱うさまざまな電気設備の中でも、重要なものとして挙げられるのが電気制御盤です。電気制御盤は電気を動力としている設備を制御するために設置される機器であり、さまざまな電気部品が入った箱のような形状をしています。私たちの身近なところでも数多くの設備が電気制御盤によってコントロールされているため、電気工事士として働く際は電気制御盤に関する知識が必要です。

今回の記事は電気工事を手掛けられている方に向けて、電気制御盤の仕組みに関する基礎知識や、関連する施工を行っていく上で役立つ知識などについて、詳しくご紹介いたします。

まずは、電気設備において制御盤が担っている役割を詳しくご紹介させていただきます。電気制御盤はさまざまな機械・設備を電気によって動かす際に、電力の供給や遮断といったシステム面を司る頭脳のような役割を担っています。

例えば、電気制御盤によって制御されている機械設備のうち、代表的なものとして挙げられるのがエレベーターです。エレベーターに備えられた制御盤は、エレベーターが安全に運行していくための安全管理など、さまざまな機能を司っています。ドアが閉まっていない状態でエレベーターが動かないよう制御し、ドアに物が挟まった際は挟み込んでしまわないような管理を行っています。昇降速度が設定された速度を越えないように制御しつつ、総重量を測って行う負荷管理や、緊急時の非常停止も制御盤の役割です。仮に制御盤が適切に働いていない場合は、エレベーターの安全管理が十分でない状態と言えるでしょう。

その他にも照明設備、空調設備、火災報知器、ポンプ、浄化槽、非常用電源設備など、制御盤による制御が行われている設備は多岐にわたります。制御盤に関して知識を深めると、電気工事士としてのスキルをより向上させることが可能です。

電気工事で取り扱うさまざまな設備は制御盤に加えて、配電盤、分電盤、動力盤などが挙げられます。この中でも混同されやすいのが配電盤であり、制御盤だけでなく分電盤とも間違えられやすい存在です。

配電盤とは、電力会社から送られてきた電気を最適な電圧に変圧する役割を持った盤であり、どちらも盤という名称であることから混同されがちですが、実際の役割は大きく異なっています。そもそも電気は電力会社から送られてきたばかりの状態では、電圧が大きすぎて利用することができません。この電気を配電盤で受けて、内部に備えらえれた変圧器によって電圧を100Vや200Vなどの使える状態に整えた上で、その電気を分電盤へ送ります。そこから分電盤が各部屋や施設に電気を送ることによって、はじめて制御盤や動力盤を動かすことが可能です。

また、配電盤の内部には変圧器の温度や漏電の監視、各種制御に用いられるメーターやブレーカーなども収められています。

電気制御盤において外側の箱の素材として主に使用されているのは、金属製や樹脂製の素材です。内部にはブレーカー、リレー、UPSなどの設備が入っており、さまざまな機器が連動しながら制御を行っています。ブレーカーは大きな電流から回路や作業者を保護しており、一定以上の電力が流れた際に作動し、事故や故障を防止してくれるという役割があります。

また、リレーは制御回路に使用されるスイッチです。電磁力によってオン・オフの切り替えが行われており、電気信号を伝達する役割を担っています。UPSは無停電電源装置と呼ばれる装置であり、停電時に活躍する装置です。UPSがあれば停電などの理由で電力の供給が途絶えてしまっても、一定時間電気の供給を維持し続けることが可能となります。

それ以外にもランプ、電流計、電圧計、空冷ファン、タッチパネル、センサーなどが備えられており、精密な制御を実現しています。制御する際はシーケンス制御と呼ばれる方法が用いられており、あらかじめ組まれたプログラムに沿って動いているのが制御盤の仕組みです。

電気制御盤は非常に重要な設備であり、取り扱う際は専門的なスキルが求められます。電気工事に関する資格を取得していれば、より幅広く制御盤を取り扱う業務に携わることができ、働き方の幅を広げていくことができるでしょう。

電気制御盤を扱う電気工事に役立つ資格としてまず挙げられるのが、電気工事士です。電気工事士には第一種・第二種の資格が存在しており、それぞれで手掛けることができる業務の幅と資格取得の難易度が異なっています。第二種の資格では、小規模なビルや店舗などの電気制御盤に関する施工を行うことが可能となります。また、より難易度の高い第一種の資格を取得することができれば、大型ビルや商業施設、工場など、大規模な現場における制御盤を取り扱うことが可能になるでしょう。

もう1つ関連性の高い資格として挙げられるのが、計装士です。計装士は制御機器や計測機器などを扱うための資格であり、取得することで取り付け工事や配線工事といった施工を手掛けられるようになります。電気制御盤の内部には細かな配線が通っているため、計装士の資格を所持していれば、電気制御盤に関する施工をより幅広く担当できます。

電気工事士として働いていく上で、工数を取られる作業が図面作成をはじめとする各種事務作業です。今回ご紹介させていただいた電気制御盤をはじめ、電気に関連する施工を行う際はミスなく安全に施工を進めていくための指針となる電気図面の作成が必須です。しかし、電気図面の作成には多くの手間がかかり、想定以上の労力を費やさなければなりません。

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