マンションにおける給水方式とは？4種類の給水方式を徹底解説！

水道は私たち人間が生活を送っていく上で欠かせない水を供給してくれる重要なインフラであり、社会全体を支えるための鍵となる存在です。そんな水道に関する水道工事はあらゆる建物で行われており、戸建て住宅だけでなく、マンションにおいても欠かせません。また、マンションの水道工事を実施する際は、マンション特有の給水方法を十分に把握しておくことが大切です。

そこで今回は、マンションで行われている水道工事における4種類の給水方法について、わかりやすくご紹介いたします。

まず、１つ目の給水方法としてご紹介させていただきたいのが、受水槽方式と呼ばれる方法です。これはマンションなどの建物に受水槽を設けて、水道を介して送られてくる水を一度貯めた上で給水を行う方式です。貯水槽水道と呼ばれる各設備を利用した給水方法には、水道網のトラブルに強いという特徴があります。例えば、水道管のトラブルなどによってその地域の水の供給がストップしてしまった際、受水槽に貯めてある水を利用することができるため、トラブルの影響を受けません。この長所は、地震をはじめとする災害の発生時にも役立つため、マンション全体の水道利用における安心感を高めてくれるでしょう。

また、受水槽を介することによって水道の供給量以上の水を一度に使用できるというメリットもあり、マンション全体の水消費量に余裕を持たせることができます。マンションという建物は、多くの人の生活の場である関係上一定のタイミングに水の消費量が集中してしまうことが特徴です。例えば、極端な例ですが、ワールドカップのハーフタイムやオリンピックの注目競技の合間など、大勢の人がトイレを利用するタイミングには水の消費が集中します。そんな時に受水槽があれば、水の供給を安定して行うことができるでしょう。

一方で問題点として、受水槽を設置するためには一定のスペースが確保されていなければならないという点が挙げられます。また、仮に受水槽の内部が劣化して不衛生な状態になってしまうと、マンション全体の水に悪影響が出るため、定期的な点検が必要になるという点も忘れてはいけません。

2つ目にご紹介させていただきたいのが、高架水槽方式と呼ばれる給水方法です。こちらの給水方法は上述した受水槽と連動したものとなっており、1階や地下に設けられた受水槽から汲み上げた水を最上階に設けられた高架水槽に貯めて使用します。水道管にトラブルが起きても安定して水を使用できるというメリット面、定期的なメンテナンスが必要だというデメリット面は、受水槽方式と類似していると言えるでしょう。毎日のように使用し続けなければならない水道を、安定した環境のもとで利用できるという点は大きな魅力ですが、ランニングコストは必要になります。

また、定期的なメンテナンスだけでなく、一定の年数ごとに水槽とポンプが寿命を迎え、交換が必要になってしまうという点も事前にチェックしておきたいポイントと言えるでしょう。仮に点検・交換といったランニングコストがマンションの管理組合などで問題視された場合、この受水槽や高架水槽を用いた給水方式が変更されるケースも多くなっています。

高架水槽方式の給水方法から、一階や地下に設けられる受水槽を取り除いた形で給水が行われるのが、次にご紹介させていただく直結増圧方式です。受水槽を設けない給水方式であるため、水道本管から屋上に設置された高架水槽まで直接水を送り込み、そこで水を貯めておく形となります。しかし、水道本管から高い位置にある高架水槽まで水を汲み上げるためには、水に強い圧力をかけなければなりません。そんな時に建物に設置されるのが、強い水圧での汲み上げを可能とする増圧ポンプであり、ポンプがなければ基本的にこの給水方法は成り立ちません。一度高架水槽まで水を汲み上げさえしてしまえば、各戸への水の供給は重力に従う形で供給することが可能となります。以前の技術では、受水槽を介さず水の汲み上げを行うことは困難でしたが、技術の発展によってこの方式を実現させることが可能になりました。受水槽のネックであった点検・交換の手間や費用が不要になることから、ランニングコストを鑑みた上でも非常に有効な選択肢となる場合があります。

しかし、現場の環境によってはマンション内の配管ルートを変更しなければならないケースもあり、高額な費用が必要になる場合があるという点を事前にチェックしておきましょう。また、自治体によっては直結増圧方式が許可されていないこともあるため、地域によっては導入が不可能だという点にも注意が必要です。

最後にご紹介させていただきたいのが、直結給水方式です。これは受水槽や高架水槽を介することなく、水道管から直接各戸への給水を行うという方式であり、ここまでご紹介させていただいた方式と比較して最もシンプルな給水となっています。受水槽や高架水槽がないということは、それらの設備のメンテナンスなどが必要ないということになります。定期的なメンテナンスを求められないため費用面におけるメリットが大きく、タンク内の衛生の問題も生じないため、信頼性が高い給水方式と言えるでしょう。

しかし、直結給水方式の大きな弱点として、高層階に水を供給するために十分な水圧を得ることが難しいという問題があります。従来は3階までが限界でしたが、近年では4階までの給水が可能になったため、導入が可能なマンションが以前より増えました。それに伴って行われる施工件数も増えているため、水道工事業者は直結給水方式について最新の技術・知識を得ておく必要があります。

今回ご紹介させていただいた4種類の給水方法は、いずれも水道工事を介して設置されるものです。水道工事を行うためには多岐にわたる施工を実施する必要があり、それに伴って平面図や立面図も作成しなければなりません。そんな水道工事の図面作成業務において大いに活用できるものが、弊社がリリースしている給排水申請CADシステム「水匠NX」です。CADソフトには無料のフリーソフトも複数存在していますが、無料ソフトは二次元環境の作図にのみ対応しているものが多いため、立体図面を作成しなければならない水道工事には向きません。しかし、弊社の「水匠NX」は水道工事に特化した機能を備えていることが特徴であり、水道工事における図面作成業務を大幅に簡略化することが可能です。

また、図面作成だけでなく、各自治体に提出しなければならない水道工事に関する申請書類の作成にも対応している点が「水匠NX」の大きな強みです。図面作成・書類作成をはじめ、これまで手作業で行われていた事務作業をPC上でスムーズに完結できるようになるため、飛躍的な業務の効率化を実現できます。CADシステムの導入をご検討されている方は、ぜひお気軽に「水匠NX」の資料請求をお求めください。