営業活動において、データサイエンスは非常に有益な学問として、積極的な活用が行われています。データサイエンスとは数学や統計学をはじめ、さまざまな分野の知識を組み合わせてデータ分析を行い、業務に生かすことを指します。活用されている分野は非常に多く、社会にとって欠かせないものになりつつあります。そんなデータサイエンスと併用することで、営業活動において大きな効果を発揮してくれるのが、SFA（営業支援システムツール）です。

この記事では、営業活動で役立つデータサイエンスに関する知識とSFAが役立つ理由について、ご紹介させていただきます。

まずは、データサイエンスについて概要を見ていきましょう。データサイエンスとは、さまざまな分野におけるデータに対し、数学・統計学・特殊プログラミング・機械学習・AIなど、多面的なアプローチを行うことで、より深い洞察を行うことを指します。データに対する分析と洞察は元々多くの分野において行われており、用語としてのデータサイエンスは1974年前後から使われていましたが、近年では従来のものとは一線を画しています。技術の発展に伴いデータの量が膨大化したことと、AIや機械学習、ディープラーニングが登場したことによって、データサイエンスの持つ意味はより大きくなりました。データサイエンスによる洞察を通して得られた情報は、意思決定や戦略計画の策定において、重要な指針として活用されます。

また、データサイエンスの専門家であるデータサイエンティストは、各界において重宝される存在となっており、その存在感は将来的にますます増加していくと考えられています。そのため、これからの社会の在り方を考えていく上で、データサイエンスは重要度が高くなると言えるでしょう。

データサイエンスの中でもわかりやすい例として挙げられるのがビッグデータであり、その例としてはインターネット上の検索エンジンに蓄積されたデータ群などが挙げられます。ビッグデータは適切に分析を行うことで地域別・年代別の嗜好などを調査したり、非常に精度の高いリアルタイムなデータを収集したりすることが可能です。現在進行形で発展が著しい分野であり、データサイエンスを営業活動に活用することで、同業他社に対する競争力を向上する際に大いに役立ちます。

他にもデータサイエンスが用いられている分野は幅広く、身近なところでは交通アプリのルート最適化や渋滞予測、株価の予測、自然災害への対策など、さまざまなジャンルが挙げられます。また、SNSなどを利用している時に目にする個人の嗜好に合わせたターゲティング広告などもデータサイエンスによって判定が行われているため、幅広い層をターゲットにしたマーケティングが可能です。

近年は、営業においてもデータサイエンスが活躍する場面が多く、データサイエンスを上手に活用することができれば、大きな強みを得ることができます。営業におけるデータサイエンスの役割として、営業活動全体の円滑化と効率化が挙げられます。例えば、売上高や受注率などのデータを元に分析を行うことで、その増減を起こしている要素を可視化すれば、自社の強みを伸ばし、欠点を補強することが可能です。さらに、データサイエンスによって導き出されたデータを社内で共有することで、全体の営業活動におけるクオリティアップを目指せます。

営業において用いられているSFAは、データサイエンスツールとして非常に役立ちます。SFAを利用することで、日々の営業活動を通じて多くのデータが蓄積されていきます。それによって、営業の現場において起きた事柄を可視化することが可能です。可視化された多くのデータを、データサイエンスによって分析して洞察することで、営業を通じて成約を達成しやすい顧客属性や、失敗しやすいパターンを明確にすることができます。従来の営業活動は個人ごとの能力や資質に左右されやすい分野でしたが、SFAで収集したデータを分析し、成約のパターンを知識として共有することで、全体の成約率を向上させることが可能です。営業につきものだった属人性を排除することができれば、顧客への対応やサービスを均一化させ、クレームなどの発生を防ぐことにも繋がります。

SFAに蓄積された情報をデータサイエンスで分析する際には、動向分析・要因分析・検証分析・予測分析という手法が用いられます。

まず動向分析は、業界全体に視野を広げ、そのトレンドを正確に分析し、把握していくというものです。顧客からの反響が大きい商品・サービス・価格帯・リアルタイムでの変動などを、複合的に分析していき、営業の方針決定に役立てていくのが役割です。次に要因分析では、動向が起きた要因を探り、そのトレンドが発生した理由を分析していきます。反響が大きかったもの、小さかったものの両方について、それぞれの理由を見出すことができれば、営業活動に生かすことが可能です。また検証分析では、動向分析と要因分析の結果を踏まえて、営業活動を改善できる仮設を立てた上で実践と検証を行います。検証分析は繰り返し行われ、修正と実践のサイクルを複数回行うことで、よりベストな結果を導き出していきます。そして予測分析は近年登場したもので、AIを介した分析によって未来予測を算出していくというものです。予測分析の精度は確実ではありませんが、機械学習を繰り返すことによって精度が高められていくため、今後の発展が期待されている分野です。

これらの分析を駆使することで、SFAとデータサイエンスをより深く連動することができます。